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夜間鍛練には上昇思考
そんなこんなで、一日がまた終わりかける。今日依頼を受け、無事にこなす事が出来た。そういう実感があまり無い。
夜中でもアケミチさん相手に鍛練を続けているスノーさんを時々見ながら、自分は銃を構え、撃つ。目標は大分離れた台上の空き缶、その上に立てられたコルク。
風圧で缶が倒れた。近付いてコルクを拾い上げると、左斜め上が抉れている。一応命中はした様だ。次は射撃の速さ。
空き缶を中空に放り投げる、逆行を少し感じながら出来る限りの弾丸を空中の缶に。穴が空いて、直撃する度に動きが変わる。それを予測した上で連射。
からり、と穴だらけになった缶が落ちた時には、弾倉に残ったのは一発のみだった。
ロッシュは調子が良い時は缶を粉々にしてしまう。あっちは二挺使っている為、早撃ちに関しては恐らく十分だろう。

「ぬわー!」
「ほら、まだまだ甘いなぁ…」

スノーさんがアケミチさんに投げられ、背中から地面に叩き付けられた。小さく弾み、苦しそうな声を上げている。
ダメージは小さいのかスノーさんが特別丈夫なのか即座に立ち上がると、嘗てニッグさんを負かした様に、全力の勢いを持って頭突きをした。どぉん、と人同士がぶつかり合っただけで爆音。
やはり何故かアケミチさんがスノーさんの腰辺りをしっかり抱えていた。そのまま上体を反らせ、突撃を避けながら勢いを殺さず、スノーさんの頭がまた地面にめり込む。
流石に効いたらしく、頭を抱えて踞っていた、その背後からアケミチさんが小刀を首筋に。勝負あり、自分め練習に集中する。
抉れたコルクを後方に向かって放り投げて、素早く振り向く。落ちている小さな的に早急に狙いを定め、射撃。

「うにゃぁぁっ!」
「……………」

スノーさんの突飛な声を耳にしながら、自分の目の前で確かにコルクが押し出された。小走りで近付いて拾うと、中央よりやや下辺りにぽっかりと穴が。
身体を動かさないとどうにも落ち着かなくて、久々に鍛練に望んでみたのだが。確かに、銃の腕前は上がっているらしい。
嬉しさを感じながら、自分の脇でスノーさんが吹っ飛ばされていった。

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