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三度寝には深夜帰還
「………………」

改めて身体を調べてみると、青痣一つ出来ていなかった。自分の運が良かったのだろうか、もしそうなら最初からユニットの暴走なんかしない。
すっかり身体の痛みも無くなった。取り上げられていた装飾銃一式も無事に返ってきている。後は便利屋へと戻るだけだ。

『痛みが無くなって治った時には、コレ↓を押してからコレ→を飲んでね☆』

そんなメッセージカードが添えられているのはスイッチとカプセルに詰められた薬だ。間違えてもスイッチを飲んで薬を押す訳は無いだろう。
薬の中身も粗方解っている。意を消してスイッチを押してから、薬を口内へ放り込み、飲み込んだ。忽ちに意識が朦朧としてきて、再び暗転。



「……………」

見覚えのある通りの光景。中々見えにくいのだが。増えた持ち物は獅子人の償い含めた追加の報酬入りの袋。
三日月よりも広く、半月よりかは狭い微妙な大きさをした月が自分を照らしていた。既に時刻は真夜中。便利屋が開いているかどうか。
夜道は色々と危ない。何時背後から襲われるとも限らない、装飾銃をしっかりと握り締めながら便利屋へと向かう。耳には入るのは自分だけの足音、時たま吹く風の音。
周りに自分以外誰も居ない。とは思わない。気配なんてその筋の相手なら易々と消せる。銃を握る手にもつい力が入ってしまって。


まあ、そんな心配など虚しくなってしまう程に呆気無く便利屋の前へと着いてしまった訳だが。それでも安心はした。まだ明かりは当たり前だろうが点いていない。
扉を開けようとするが流石に開かない。何回か扉を叩いてみる。当然反応は、

「……お帰りなさい、随分と遅かったですね?」
「………はい、少々いざこざがありまして…」

錠が開けられる音、そしてエンフィさんが早速顔を覗かせた。今まで起きていたのだろうか。
服装はズボン一枚。生地が薄いらしく、種族柄の股間の大きさがはっきりと強調されていた。
気にしない風を装って、中へと上がる。背後でエンフィさんが扉の鍵を掛けた。

「さて、報告をお願いできますか?」
「はい、追加の報酬がありまして……」

座ると更に股間が強調された。気にしない、気にしない。


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