垂れ耳は身長外な
「………へぇ。」
「…つー訳で、最初に誘ったのはレザラクだ。俺は止めとけって言ったが、やんわり断られた。」
「そういや、前レザラクに本を貸してくれって頼んだんだよ。エロいのを。」
「んだよまた唐突に。」
「どんなジャンルが良いかって聞いてきたから、適当に良いのを選んでくれって言ったんだよ。」
「………まさか?」
「…流石に男女同士だったがな。」
「……レザラクさんっ、手首が痛いです」
「ん?うおっ…悪いな、気付かなくて……」
強く握られ、手首は、鬱血こそしていないが赤くなっていた。
「あー……、この部屋がお前に割り当てられる筈だ。荷物を置いててくれ。」
お詫びのつもりなのか、さすさすとレザラクさんは自分の手首を擦る。
とりあえず、言われた通りに荷物を置いた。改めて見ると、所持品が少ないな。
「…よっし、地下鍛練場に行くぞ。」
……今度は袖を引っ張ってきた。
何の凸凹も無い、真っ平らな床。それだけ。
あ、見ると脇に扉が。[器具室]…ダンベル等だろうか。
「……おお、やってるやってる。」
「…………」
垂れ耳の兎人が、黙々と銃を撃っている。案山子に向かって。
「ここが地下鍛練場。ダンベルとかあの案山子で射撃練習とか、
結界張ってあるみたいだから魔法の練習も出来る。」
「……あ!」
おや、垂れ耳の兎がこちらに気付いたようだ。
次の瞬間、兎は自分達の目の前に立っていて
……風が。
「レザラクお帰りっ。この人間は?」
人懐っこそうな声で、兎が尋ねる。
「スカウトしてきた奴だ。で、町を案内して貰いたいんだが……」
「………」
兎人は自身の頭頂に手を乗せ、その高さを保たせながら自分の頭の上に。その手は空を切った。
つまり自分はこの兎人より背が低い。
「……やった!やっと背で勝った!始めまして!ヨロシク!」
両手でこちらの手を握ってブンブンと上下に激しく振る。
自分より若いのか童顔な年上なのかは解らないが、見てて微笑ましい。
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