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発進時には決意と集中
何て事をしてくれたんだ、等とは言っても無駄な気がした。実際そうだろうし、曲がりなりにもレンカさんのお墨付きを頂いている。
レンカさんに丁寧に畳まれたマフラーを返して貰い、首に巻き付けて準備完了。あの二人は自分よりもずっと時間が掛かるだろう。

「で、気になってたんだけどその動力源、何処でどうやって手に入れたの?」
「……自然にあった魔力が内在する物を、友達の助けを借りて凝縮させたんですよ」
「へぇ、そうなの?あんなに大きい魔力を、あんな小さい容器に収めちゃうなんて凄いわね。で、勝ってね。絶対に勝ってね!」
「…………」

もう時間だ。自分が勝たなければレンカさんは一週間全裸。間違い無くとばっちりも回ってくる。性能では一番上。勝たなければ。
態々この日だけに作られたコース上へと。急拵えか所々粗が見える。観客席には殆ど繋ぎ服の客達が。

「ぜ、ん、ら!ぜ、ん、ら!」
「勝てよぉ!そして俺達の夢と希望をぉぉ!」
「そんなちみっこいガキ、さっさと弾き飛ばしちまえ!」
「……………」

自分はそんなに祝福されていない様だ。狼人は舟を平たく潰して伸ばした様な飛行ユニットを足の下に敷いている。
獅子人は背中から両肩に噴出口付きのエンジンが突き出た重そうな機械を背負っている。自分では扱えなさそうだ。

『さぁ、今まさに世紀の飛行レースが始まろうとしていますっ!解説は私、シロのアマカワ!魔力対燃料対ハイブリッド…と思われましたが、都合により魔力対燃料対魔力となりましたぁ!』
『朝昼夜、可愛い子は皆等しく俺の部屋に来るように。呼ばれて来ましたコメンテーター、ボナッシュ=ギミエですにゃー』
『さて始まりましたレースですが、三人についてどう思いますか?』
『全員有りだにゃ。負けた相手を夜中慰めてヤりたいにゃー』
『はい、全然関係の無いどころかかなり危ういコメントありがとうございましたぁ!いよいよ始まりますっ!』

獅子人のユニットからかなり大きな音と振動が。狼人の足元のユニットも僅かに宙に浮いていて。自分もマフラーを起動。準備万全、自分以外の二人がゴーグルを着けている事等気にしない、
観客全員のカウントダウン。3、2、1。フラッグが上げられて、自分は前方へ急加速。

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あきゅろす。
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