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配達物には最高技術
「……サイ、お前に郵便が来てるぞ…」
「そうですか…中身は一体何が?」
「そんな簡単に人様の荷物を開ける訳無いぜ。もしもエロい奴だったりしたら、後味も悪いしな…」

縞模様の尻尾を揺らしながらヤクトさんが笑った。それにしても自分に郵便とは余程の、強いて言うならまともな職に就いている親友か檻の中に居る親友か悪魔か。
一階のテーブルの上に置かれていたのは確かに自分宛。ハードカバー本程度の大きさ。重さは中心のみ重く周りは軽い。梱包材が詰まっているのだろう。
差出人には、『レンカ=アマギリ(絶対開けてね!)』の文字が何と言うか丸々した文体で書かれていた。また彼女か。
初対面で自分にスタンガンをぶちかまし、懐かしい匂いを毛皮から漂わせている技術者肌の狼人だ。手紙が漸く来なくなったかと思えば。
開けてみたら赤い金属製の箱が梱包材を詰められた中心に。かちゃ、と箱の上面から何かが飛び出してきた。眼のも見える丸い物体が内部から出ている。側面にはびっしりと細かい穴が。

『……今日は、サイ君!早速だけど私の元に来てくれない!かしら!』
「何だぁこりゃ。どっかから通信してるみてぇだが」『あ、以前サイ君がお世話になりました。幾らか気掛かりな点がありますので、少し借りさせて貰って良いですか?』
「……………」

眼の様な部分がヤクトさんを見つめてから返事が来た。音声だけでは無く此方を実際に映して見ているのだろう。
最近出来た真新しい技術の筈で、それからでもレンカさんの凄さが解る人には解る。それにしても急な話だ。

「ふむ、サイに用事が有ると。個人的な用ですか、或いは依頼という形なのですか?その辺を詳しくお願いしたいのですが」
『………ああ!依頼でお願いするわ。前金はこれの下に入ってる…中々断りにくくなるでしょ?』

エンフィさんが機械の下を探ると、確かに幾らか纏まった金額が入っている。正当な依頼となった訳で、断るにしろ返信用の宛先は書かれておらず。

「サイ…行ってらっしゃい」
『私が行き先を教えるから、持っていってね!』
「……………」

有無を言わさず決定した。恐らく機械越しに、レンカさんは笑っているのだろう。

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