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手伝い中には骨折り損
何時もの一日。+α。皆が武道大会だかに段々と取り組み始めている。所長の姿が本当に珍しく机に座っては居なかった。
地下の鍛練場に来てみると、スーツに付いた埃を払っている所長が。表情は相変わらずに気だるそうで。
直ぐ側で白い何かがのたくっているなと思っていたらレザラクさんだった。両腕と左足があらぬ方向へと捻れている。自分と視線が合った、と思った瞬間所長に肩を叩かれて。

「フーガかアケミチを呼んでくれ。何と無く調子が出てきたぞ」

珍しく僅かながらも語調が上がった言葉だ。レザラクさんを早く治して貰いたい事もあり、早足で上へと駆け上がった。


「本気でへし折るとは思わなかったね。というか、手加減しないの?」
「…緩くしたら、駄目だ。色々と」
「そのせいで俺がダメになったらどうするつもりだったんすか?」
「……サイ、指一本で相手の頭蓋骨を」
「間に合ってます」

最初にアケミチさんを読んだ。間接ではなくガチで折れてる、フーガを呼べと言われたので再度駆け上がり呼んだ。
所長は本気でレザラクさんの骨を折っていた。肯定的にも否定的にも取れる事は取れる、しかしフーガさんは珍しく怒っていて。
所長の表情は何時も通りだったが、尻尾は怖いのか股の間に挟めてしまっている。中々見れないだろうし大人しくしている事にした。
スノーさんについてはエンフィさんに任せきっている。今でも自分が見ると視線を反らそうとするが、槍を振っている姿がたまに見えていて。

「…そういえばさ、サイ君は何時もの練習とは別に鍛練とかしなくて大丈夫なの?」
「………やっぱり、した方が良いですかね」

鎧を着ていたり魔法で弾いたり、中には弾丸を切り落とすような相手も居るから銃は剣より強し、とは一概に言い切れないのが現状だ。
一応ロッシュから教えて貰った武器屋で大会時に使用する弾丸は既に用意を始めてはいるが。

「対銃を持った相手とか、生身とか…今負けても相手方のやり方を知っときゃ大分落ち着いて戦える……」
まだまだ先の話だけど、経験を積むのは悪くない。後でニッグさんかヤクトさんに鍛えて貰おうか、と考えた。

[ネクスト#]

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