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寛容さは威厳ある大器で
「俺こそ『clear-dice』所長、セグ=ルーワー、これから宜しく。」
「はあ…」
こちらに歩いてきて、自分と握手をする。

レザラクさん達より少し小さい身体には、所長という威厳が……うん。

「で、その図体で剣だの何だのは振り回せないよな?」

…………来た。
「はい、その通りです…」
「じゃあ魔法主体か。どんなのが得意なんだ?」
「…………使えません。」

「え?」「…おい、テメェ……」
「……使えない?」
「はい。ごく簡単なものも使えません。」
「そうか、肉弾戦も魔法も駄目、と。」

あーあ、言ってしまった。これで自分はここから追い出されてしまう。
短い間でしたが、ありがとうございました。


「……不必要な時にたくさんあって必要な時に足りないものは?」
「……へ?」

えー……謎掛け?質問には何であれ答えなければ…
「……時間。」
「正解っ。じゃあ、パンはパンでも焼いたり伸ばしたり裂いたり洗ったり出来るパンは?」

まさかの第二問目。えー、えーと…
「…パンティ……っ、…ストッキング。」

「っ…そうか!」「そっちか……成る程なぁ…」
「……正解。やるじゃないか…」
笑いながらぽんぽんと所長は自分の頭を撫でてきた。
「まあ契約はしちゃったしちゃんとした俺等の一員だからな。」
「…こんなに力無い僕でも?」
「そんなに力無いお前でも。来る者は拒まず、去る者は追わず、だ。」

……所長的には自分もOKみたいだ。
「…そんじゃ、町案内でもさせるかな。鍛練場に誰かいる筈だ。
レザラク、サイを鍛練場まで連れていってくれ。町案内させるように頼んでここに戻ってこい。
お、荷物まだ持ってるのか。訂正。空き部屋に案内して、荷物を置かせろ。
それから鍛練場に。…フーガにゃ気を付けろよ。」

鍛練場か。やはり地下にあるのだろうか。
そしてフーガさん。やはり常にあんな感じなのか…

「了解。…行くぞ。」
「わっ……!」
レザラクさんが自分の手を掴み、ぐいと引っ張られる。
何でそんな強引に、出来れば荷物を引っ張って…

「……セグ、俺は?」
「お前は報告。さあ、話せ。」
「そうだな、最初は鎧をつけた牛人と力試ししようて事になってな…」


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