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未知に宣言に解散に帰還
六人の表情がとてもとても強張ってしまった。気持ちは解る。傍目から見ても狂っている人間に身柄を預けられる、全く持って何をされるか解らない。
内面も行動もあれだが、待遇はそれなりに良いものになる筈だ。然るべき処置を取るのだろう。今の町長が昔と同じならば、同じか。
さて、彼等をどうするかも決まった。危機は去った。これからどうするかが大切だ。飛行挺で元居た場所に戻りたい。切実に帰りたい。

「みんなー!コイツがウイルスが存在しない事をきっちり知らせてから、帰してくれるってよ!」

どうやら、事態は丸く収まる様で。皆と離れ離れになるのは少し空虚さを感じ、帰れるのはそれよりも嬉しい。
これで皆に会えるのなら。あの情報屋に、再び顔を見せるのも良いかもしれない。
町長が自分の肩に手を置いていた。何時から背後を取られていたのかは、気にしたらいけない。服越しに肌に吸い付いてくる様な感触だ。

「それじゃあ皆!前か明日に書いた通りに、思い思いの場所に戻ってくれ!お前達を、忘れた事はあんまり無い!此処に来ていないおよそ二十八京人の奴等も!
それからサイ=スロードに関しては手紙とか送っといたから!気付いたら何とかなる気がする!しないけど!ばれないと思うけど!困ったぁぁぁ!」

どうやら自分の荷物か、或いは靴裏か何処かに何かを書き込んだらしい。今自分が尋ねても答えてくれるかどうか。そもそも書いたかどうか。
色々と思う所は残ったけれども、先程自分が乗った飛行挺へと足を進め、彼と熊人と乗る。今度も銃は預けた。マフラーも寄越せ、と要求されたので仕方なく預けた。


「…………」
「……………」
「……………」

再び一定の間隔で振動する機内で、自分と彼と熊人は何とは無しに静かに佇んでいた。
彼は特に何も変わっていない。自分は膝の上ではなく脇に鞄を置いていて、熊人は此方を見ようともしない。少し震えが多くなっている。
自分が怖いのか、それとも人間が怖くなったか。どちらにせよ嫌われてしまった様だ。

「……………」

着くまで大分時間があるだろうし、眠ってしまおうか。だけど眠気は、一切沸いていなかった。

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あきゅろす。
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