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落下に言葉に無力に追撃
落下点に辿り着いた。頭上に降り注いでいるのが爆弾で、自分に命中したりしたら文字通り爆散してしまうのだろう。
銃で狙い撃つか、誘爆してしまったら自分も戦闘機も吹き飛んでしまう。だから町長に。かなり危ない賭けなのだが。

「良い景色だなぁ、色が少なくてお子様にも見やすい」
「……………」
「蓮根はあんなに穴だらけで塞がれたがってんのかなっ」
「……………」

呟きながらも視線は上を、爆弾の方向を向いていた。というかそろそろ危ない位置である。後三秒経ったら素直に離れる事に。
と、足を肩幅程度に広げた。両手で拳を作って真上に上げた。熟予想がつかないが、やる気になったのだと思う事にする。

「弁天!ふにゃけた烏賊!二段目の引き出し!大工さん!内踝!カナブン!」

魔法を使うに置いて詠唱は一部を除き必須だ。要するにイメージの問題である。炎なら熱くなる様な言葉を。水なら流れていく様な言葉。個人差はあるが、基本は同じだ。
しかし町長は頭から爪先まで異常で、狂っている。脈絡の無い単語の羅列がそのまま詠唱となり、魔力が頭の中でイメージされた魔法と形を変えて。
両拳から放たれたのは、シャボン玉の様に透き通った橙色の球だった。一つ一つが爆弾にぶつかり、内部へと包み込んでしまう。
重力に従って落ちていた爆弾が一つ残らず包まれて、ゆっくりと地面に落ちていった。施設の天井に触れ、数回跳ねてから動きを止める。完全な無力化だ。
銃撃音。避ける必要は無くなっていた。戦闘機すらも、球は包み込んでしまっていて、中から銃弾は貫通して届いては居ない。

「残りは居ないか。居るか?案外服の裏とかに居たりして」

脱いだ靴の中を注意深く覗き込んでいる町長を余所に、包み込まれ無力化したのが二機、落としたのが三機。
残る一機は、此方に背を向けて逃げていた。清々しい程の逃亡だ。自分の顔等間近で見ているのだろう。そうしたら便利屋の皆にも色々問題が生じる、

「……………」
「やまぁぁぁぁ…!」

速度も小回りも自分が上回っていた。追い付くのは容易くて。
噴出口に向かって、先程の様に数発。案外、簡単な事であった。


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