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弱点に撃墜に援護に爆弾
飛んでいるなら、翼を狙えば良い。試しに近くにいたもう一機に向かって数発撃ち込んでみる。当たったかどうかすら解らなかった。
どだだだだだ、と耳障りな音が響く。向こうが此方に向かって打ってきた。銃口が光っているのが見え、上へと。一発でも当たれば大怪我を負う。
幸いにも自分の方が小回りが効く。急上昇したりとそんな動きに相手方はついていけない様だ。勝機が大部増えた。

「…………」
「揺れる揺れる揺らせ揺らせぇ!」

だとしたら狙いは。今の自分は五機全てを見下ろせる位置に居る、二番目に近くに居た相手に向かって、急速に距離を詰めて。
搭乗席に居る相手は、大層なヘルメットにマスクをしている為どんな種族かすらも解らない。些細な事なので気にしないでおく。
狙うは機体の真後ろ。交錯してから身体を真後ろに反転。目の前には噴出口が。もしかしなくても、狙ったらどうなるだろうか。
両手で構えた銃を衝撃を逃がしながら連射。数発撃った所で、匂いが鼻につく黒煙を上げ始めた。そして高度が下がる。

「成る程、急所を抉り出したんだなっ!そうなんだなっ!マジで?」

リスクは高いが、一々そんな心配はしていられない。自分が撃たれて死にでもしたら、町長は、恐らくは生きているだろうが、
其所で考えが止まってしまった。今はそんな暇は無い、と脳の奥底が判断したのか、それとも自分は此所で死なないと判断したのか。
それはそれとして、残り四機。三分の一、しかし油断は禁物。百あるとしたら、九十で半分ぐらいだと聞いた事がある。詳細は不明。

「……あ」

橙色をした光球が、丁度皆の居る辺りから数発飛んできて、近くに居た戦闘機の両翼を真っ直ぐ射抜いた。
白煙を撒き散らしながら両翼を潰された機体がゆっくりと落ちていって。誘爆を阻止する為か、魔力で作られた網状のクッションにしっかり支えられた。
これで半分。さっきの言葉は何処へやら。

「…サイ、今すぐ急げっ!」
「……はい」

一瞬町長が言っている事が解らなくて、しかしそれは何時も通りの事だと思って。
戦闘機から、何か後部に羽の付いた棒状の物が落とされるのが気付いた時までは。
爆弾。どう処理すれば良いのか。町長に任せる。それはそれでどうしようかな、と思った。


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あきゅろす。
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