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用意に指揮に特攻に手刀
自分の銃を山から探す。銃弾を込める暇は無さそうなので今回使うのは装飾銃のみ。鞄を開き、マフラーを首に丁寧に巻く。戦闘用意完了。皆も床に撒かれた武器を漁っていて。
『月』を起動。何時でも飛べる。戦闘機が先程よりも低く飛んでいる。あまり時間は無いらしい。

「……それでは親愛なるバルバロイの諸君っ!現在大変な事になっている!このままだと貴重なパン屋にオゾン臭が染み付き、町の元気は露程になっちまう!それは嫌だ!嫌いじゃないけど嫌だ!守るぞ!全力で!歯の裏を磨け!」

町長が叫んだ。自分の巻いたマフラーを首に巻きながら。そんな仲ではないが、無理に引き剥がすのは余計疲れる。気にしないのが最善だ。

「建物以外守りに専念する」
「撃ち落としてやる」
「回復は得意さ」
「……持っていて下さい」
「へ……?」

持っていくには不便だし、置きっ放しにするのも何なので、口を閉じた鞄を熊人に投げ渡した。驚きながらも掴み損ねず手元に収まって。
役割分担はとっくに終わった様だ、しかし同じ立場で狙えるのはどうやら自分だけ。誰かを抱えても良いが、町長がその席を埋めてしまっている。構わない。
捕集器はポケットの中、牙は手首、銃は手の中に。

「………行くぞぉぉっ!右端に!全員協力して手を出すな!」
「………上です」

細やかに言葉を返しながら、自分は飛んだ。町長は問題無くついてきている。ついて来ている事事態が問題とは思ったら駄目だ。
敵は自分を囲んでいる、捕集器と魔法陣を一旦取り出し、発動。光を帯びた粒がが辺りにばら蒔かれ、自分の左目に光景が映された。
背後に二機。前方に四機。少しは戦い易くなっただろうか。耳障りな羽の回転音、右脇から一機突っ込んできた。真下に移動する。

「くぁぁぁぁ!」

町長がその反動で上昇した。自分が居た場所より少し下に、つまりは自分に代わって機体とぶつかってしまう。もっと高度を下げるべきか。それとも、このまま維持するか。
町長が機体の尖端とぶつかった。左の手刀を返している。次の瞬間、機体の両翼が日向に放置した飴の様に曲がった。高度を保てずに、そのまま堕ちていく。
心配は要らなかった。町長は何時でも、町長のままだった。

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あきゅろす。
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