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疑問に骨子に対処に疑念
偶然か。偶然ではない。かといって必然か、と言ってもそうは言い切れない。もしかすると他の船はぱんぱんに手の小さな人間が詰まっているかもしれないし、それならば偶然だと言い切れる。

「あの、君は奴隷なんだね?」
「うん」
「……本当に、それで良いのかい?他人に君は買われて、良いように扱われ」

彼が熊人の首を鋭く両手を伸ばし掴んだ。ひぃ、と熊人が悲鳴を漏らすが彼はお構い無し。首輪に着けられた鎖が小さく音を鳴らす。
そのまま首が曲げられごきり、と盛大に如何にも危なさ漂う音が響いた。見張りが此方を向く。熊人の首は真横に曲げられている。生きてはいない様な曲がり方。見張りが即座に彼の身体を取り押さえようと動く。
再度ごぎゅり、と耳障りな音。熊人の首が真っ直ぐに戻されてから、見張りが彼の身体を取り押さえ床に倒し伏せる。

「……これで満足しているのだから」
「……っひぃ…!」
「動くな!これ以上動いたら撃つぞ!」

彼の首元に見張りが突き付けているのは棒状のスタンガン。首輪が邪魔そうだが金属製、万が一引き金を引いたら即座に彼は気絶する。
彼は大人しく床に倒されていた。慣れた手付きで見張りは懐から取り出した手錠を両手に、小さな注射器を首筋に刺し内部の薄青色をした液体を注入した。
忽ちに彼の瞳が微睡み、あっという間に眠り込んでしまった。その状態のまま機内の端へと運ばれて。

「……参考までに下手に暴れたらこうなるから、そのつもりでな………」
「は、はひぃぃぃっ……!」
「……………」

やはり何かが、おかしい気がする。自分達はあくまで、血液中に凶悪なウイルスを宿した患者だと言うのに。下手に床に叩き付けたりしたら額を切って出血するかもしれない。
そうしたら見張り二人は苦しんで死んでしまう。無言のままスタンガンのスイッチを入れてしまえば良かったのだ。
熊人は未だ首を曲げられたショックで固まっている。予想外の出来事にはめっぽう弱いらしい。
やっぱり、自分の予想は正しいのだろうか。先程とは違い穏やかに眠り込んでいる彼を見ながら、更に深く自分は思案した。

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