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帰宅、門前、感覚と説教
「……………」

『clear-dice』前。以前よりも早く帰ってきた筈だが、疲れは多いような気がする
。レンカさんの誘いは断った。昔を少し思い出し、流石に親の言う事は素直に受け止めた方が良いだろうと判断した為。

「……あ、サイ………」
「ただいま」

扉を開ける前に開かれて、ロッシュと久々の対面。言葉を返しながら、そのまま便利屋の中へと踏み込んでいく。
皆の視線が自分に集められる。前よりも多く、驚いたような表情を大体浮かべていた。

「……話、蹴ってきたのか?」
「はい」

所長が話し掛けてきた。何時ものようにテーブルに突っ伏していなくて、珍しく椅子に座って本を読んでいる。
勿体無いな、と言いながらも尻尾は軽く揺れていた。心配させてしまっただろうか。

「……サイ、約二週間は『ちょっと』という言葉の範囲内と思いますか?」
「…人によるかと思います」
「そうですか。私は範囲外だと思います。所長他皆も同意見です…」

エンフィさんに首根っこを掴まれ、連行される。やはり怒っていたのだろうか。滞在時間は約数分。外につまみ出された。
荷物を全て取られて、便利屋の前の地面に正座させられ、早々とエンフィさんは引っ込んでしまった。完全に放置。足を崩したりしたのが目撃されたら明日まで食い込むかもしれない。

「……………」

地面は解りきっているが固く、正座は長時間になる程辛い物になっていく。唯ひたすらに耐えるしかない。無心で。時折自分のやらかした事を悔いたりしながら。
多分十分経過。時計を見たら案外時間はそれ程経っていないかもしれない。
恐らく三十分経過。シゼルニーが海まで流されたとして、鯨か魔物に呑み込まれたりしないだろうか。
一時間ぐらいは経ったかと思う。正直に言って、自分の体重が軽いからでもあるが、正座をしても中々痺れない体質で。
レンカさんは此所を知っていた。多分所長のパイプの太さを利用したのか。

「……もう良いでしょう、すいませんね、こんな事をして…」
「今後は気を付けます。」

推定三時間半後。やっとエンフィさんが姿を表した。話からするにもう入って良いらしいので、速やかに立ち上がり入り込んだ。
その差し伸べていた手は、足が痺れて立てない自分を引き起こす為に伸ばされた様だ。

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あきゅろす。
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