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浮上、洗浄、捕縛と暗転
豪快に立ち上る炎に、森全体を包み込んでいるような煙。少しやり過ぎた感もあるが、割り切る事にする。
陽の高さからすれば今はまだ早朝の筈だ。それでも森一つ焼き払っているならば人は忽ちに駆け付けるだろう。
早急に逃亡。痒い眼と喉をどうにかしたい事もある、先ずは川を探さなければ。

「……っ…はぁ…」

都合良く発見した川に、躊躇い無く顔を浸ける。水中で瞬きをしながら水を口に含み、喉奥まで念入りに濯ぐ。
顔を離して、袖で軽く拭った。更に魔法を解いてみる、僅かにぼやけてはいるが視界は十分戻った。喉も詰まっていたものが取れたようだ。

「……………」

残る問題と言えばキナ臭さが服にしっかりと染み付いてしまっている点だ。全裸で行動する訳にもいくまい、洋服屋で一式見繕うか。
近くの街で探すか、既に憲兵や便利屋が動いているかもしれない、そうしたら自分は怪しまれる。異国の住民でキナ臭いのだから。文字通りに。

「……………」

喉も十分潤って、特に問題は無し。ゆっくりと飛ぶ事にしよう。先ずは国外へ、そして便利屋へ。既に「ちょっと」処ではないのは仕方無い事。恐らくは。
マフラーを再起動。そして上空へ。地面よりも雲の方が近く見える程度の高さに。寒さは性質上気にならない、目撃したとしても鳥か何かと思われる事を信じる。

「……………」

下界を見下ろしてみると、森は既に死にかけているように炎が広がっていて。魔物の身体は横倒しになり、延焼に役立っている様だった。
森が焼けた後の農耕に最適な土壌になる、後世の人に何時か開拓して貰うとしよ

「見ー付けたぁぁっ!」
「ぐぇ」

背中に衝撃。柔らかな感触。腹部に腕が回され、誰かに抱き着かれている。そんなまさか。
同時に身体が落ちる。残念な事に、頭から。マフラーには十分余力を持たせた筈だが、相手方の速度をそのままに不意打ちは流石に持たなかったらしく。

「君……!も……した…あ…森を…ったのって……」
風が強くて何も聞こえない。振り返ったら首に悪そうだ。だがこのまま相手の良い様にされるのも気に食わない。
落下中にやるのは始めてだか、銃を引き抜き、背面に向かって黙視せずに引きがががががががががが。

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