[携帯モード] [URL送信]
反省、出発、旅路と回想
「……………」
「………………」「…………あの」
「黙りなさい」
「………………」

朝起きてみたらレザラクさんとヤクトさんが正座していた。正確にはエンフィさんにさせられていた。
自分をレザラクさんが襲ってから異様なまでに険悪な雰囲気が漂っていたが、それにエンフィさんの我慢が効かなくなったようで。

「……………」
「……もう」「喋らないで下さい」「……………」

座らせられたが無視をされる。だからと言って口を挟めば黙らせられる。二人の両足は震えていて、今まで延々とこの状態だったのだろう。
涙目のヤクトさんを始めて見た。助けて欲しそうな眼を此方に向けるレザラクさんも始めて見た。
にやついているニッグさんはともかく。ロッシュやアケミチさんは慣れているのか完全に無視をしている。
先ずは朝食を摂る事にする。
何も気にする必要はありませんから、とエンフィさんの眼が言っているような気がしたからだ。
しかし、自分にはやる事がある。レザラクさん達は見捨てざるを得ない。無理矢理犯された恨みがある訳ではないのだが、旧友の頼みは外せないから。

「ちょっと出掛けてきます」
「……………」
「夕飯時には帰るのですよ」
所長の返事は無かった、相も変わらず頭をテーブルに落として寝ているのか死んでいるのか。
マフラーを首に巻き付け拳銃は二丁、幾らかの金や本、万が一に備えてフーガさんから貰った干し肉等を入れた肩掛け鞄。
エンフィさんの言葉を受けながら、自分は扉を開け、便利屋の外へ出た。



「……………」

話には聞いたが、流石に巨大な屋敷だ。防衛魔法もぎっしり。下手に入り込んだら、家主の奴隷として好き放題扱われるらしい。
それから「ちょっと」という言葉は、今までの旅路からすると大分似つかわしくない事が解った。
今までに掛かった日数は九日間。帰路はマフラーを使う予定だから大分短縮出来る気がするが。
数日前依頼を受けた時の事を思い出す。あれは朝方の事だった。もしくは真夜中の事か。
自分の感性を信じるとしたら、「夢の中」、というのが一番正しいかもしれない。

[ネクスト#]

1/20ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!