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再度赴き飛び出した
忙しなく頭を掻いて、腕組みしながら貧乏揺すりを何度か。あまり触れて欲しくない所に触れたのだろう。

「えーと……どうしても言わなきゃ駄目ですかね…色々問題が出てくるような気がですね………」
「駄目です、一から十まできっちり話してくれないと私達は納得しませんよ?」
「う……まあ何とその、特殊な機材を使いましてですね………」
「蟲の形をした?」
「っ!!?」

身体を急に硬直させ、明らかに反応した。何か関係を持っている。
小刻みに震わせ始めている。一旦部屋に戻って、以前分解した蟲の殻を見せてみた。

「あっ………」
「こんな『機械』ですか?」

動きが固まって蟲を凝視していて、どうやら当たっている。笑顔は既に消え、ばつが悪そうな表情だ。
エンフィさんが相手に近寄る。一番の背丈と体格だから、相当な威圧感を感じる筈で。相手が後ろを向き戻ろうとしたが、エンフィさんは逃がさずしっかりと肩を掴む。

「すいませんが、説明がまだではないですか。是非とも聞かせて頂くと非常にありがたいのですがねえ……」

言葉に込められた思いは願望などではない。命令だ。相手が身体を震わせるのも気にしていない。

「それは……あの…えっと…えっと……」
「……………」

今にも泣き出しそうだが、演技なのかどうかは解らない。今逃がしてはいけない。所長が扉を閉じ、相手の退路を塞いでしまった。

「…幸い暇なんでな、時間はたっぷりとあるんだ…軽い食事なら出してやる…お前が話すまでな……」
「ひぃ!」

やり方自体は完全に悪者のそれ、相手方が蟲を世界中にばら撒いた前科があるとすれば至って問題は無し。
小刻みな震えが止まらない。目は泣き出す寸前のように軽く潤んでいる。もう直ぐ吐き出す、若しくは泣き出すか。

「……何とか言ったらどうなんだよコラァッ!」
「っ!」

業を煮やしたヤクトさんが叫びながら相手に近寄り胸ぐらを掴んだ。エンフィさんが目配せをした途端に、要するに演技だ。中々迫力が強い、間近で見ていたら堪ったものではないだろう。

「ちはー、郵便で」

扉が開けられた。

「ん?」
「っうわぁぁぁんっ!?」

ヤクトさんとエンフィさんが目を離した。
逃げた。

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