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語り欺きつっかえた
にこやかな笑顔を浮かべているが、狐人にあそこまで言われている為に逆に怪しいものにしか見えない。
所長含め全員、エンフィさん以外は呆気に取られているようだ。

「……誰が、当たったんだ?」
「貴方達全員となっています!おめでとうっ!」

ぱちぱち、と一人だけの虚しい拍手が微かに響く。彼は本当に何を言っているのだろう。話を聞く聞かない以前に信憑性自体に問題がある。

「済まない、もっと具体的に頼めるか…俺達が『何』に当たり、『どんな』事があるのかを詳しくな……」
「えっ?はいっ!貴方達は『夢の空間』に永住する権利を得る事が出来ましてっ!その通りに永住する事が出来ますっ!」
「……………」

胡散臭さにも程がある。聞こえの良い言葉だけを話すのは悪徳詐欺の基礎の基礎、だ。

「……夢の空間ねぇ…何があるんだ…?」
「食べ物に飲み物、あちらこちらからの素晴らしい書物や衣服の数々、様々な遊具から運動器具まで!何もかもが揃っているのですっ!」
「……………」

レザラクさんが少し興味を持ち始めているような。胡散臭さは底無しに上がり続けているのに、読書好きなのも問題か。

「……で、どうしますか?夢の空間に行っちゃいます?どうなんですか?」
「断る」
「……えぇーっ!?何でですかっ?」
「胡散臭い、それに尽きる」
「えぇっ!?夢の空間なんですよ?貴方達は選ばれたんですよ?」
「……『選ばれた』と貴方は言ってますが」

相手は驚いている。なぜあんな勧誘法で自分達が了承すると思っていたのだろう。呆れたように見つめる所長を余所に、エンフィさんが呟いて。

「どうやって私達は選ばれたのですか?その方法を教えて頂くと有り難いのですが……」
「えっ……いやーそれはっ…厳正な基準に基づいて…」
「『具体的』に『何をする事によって』私達は選ばれたか?教えないと行く気にすらなりませんよ」
「あー……えっと……」

明らかに様子がおかしい。笑みは浮かべているがぎこちない、何か後ろめたい事がある表情だ。
例えば、各地に沸いた蟲をどう倒すのかが『夢の空間』への選定基準だとか。

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