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全て終わって舞い込んだ
「結局、あの蟲は何だったんだろうなぁ?」
「取り敢えず造った奴はぶっ飛ばしたら良いんじゃないかなぁ、と」
「そーだな……」

それから数日経って、蟲の出没した、という情報は全く来なくなった。自分達の周りだけでなく、世界までもが。予想以上に呆気なく、その上素っ気なく終わった。
自分の予想が正しいならば、調査がまだまだ続くのかそれとももう終わったのかの二者択一。続くのならより強力な蟲が沸く。終わったのなら首謀者が何らかの形で姿を表すのかもしれないし、若しくはその部下か末端か。
有名な昆虫学者が蟲の死骸を解剖した結果、人工に造られたものだと漸く公表され、制作者には懸賞金が掛けられた。規模が規模だけに大分額は大きい。

「あれだけ精巧な動きをする人造物なんて、造れる人はそうそう居ないでしょう……」
「…………」

自分は知っている。あの程度のものならば平然と造れるであろう人を。彼も彼ももしかしたらあの彼も造れるかもしれない。
皆が集まっているとしたら数の問題も解決する。もしかしたら。

「……………」
「で、肝心の製作者はどうする…よ、セグ…?」
「……情報屋を雇うなりなんなり、自分で考えろ………」

かつ、かつ。

「ん?」

かつ、かつ。

誰かが扉を叩いている。基本依頼は所長が取ってくる事になっている。食材関係はフーガさんが一任、郵便物も預かっているので配達等来るのがおかしい。

「………」
「気を付けて下さい……」

所長がゆっくりと扉に近付く。片手には銃が握られていて。エンフィさんがその後ろに。
扉に手を掛け、身の大半を扉に隠れるようにしてゆっくりと開いた。

「………今日は」
「……………」

いかにも清楚といった風な衣装に身を包んだ、白い狐人が笑みを浮かべて立っていた。彼に比べると大分真面目なように見える。

「…………」

以前、自分は目の前の相手が身に付けている物に見覚えがあった。
以前あの街を襲来した、龍に乗った二人組。自分が竜ごと纏めて撃ち落とした、襲撃理由が未だ不明な彼らと全く同じ衣装をしていた。

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