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鈍け倒して跳んできた
跳んだ、払った、跳んだ、反らせた、跳んだ、しゃがんだ。
柱の表面は固く、格闘や自分の銃撃では文字通り歯が立たない。ニッズさんが居てくれれば楽だった、だが居ないなら自分達で処理するのみ。

「……効いてる様子はありませんね」
「段々こっちの足が微妙にびりびりキテるんだがな」
「……………」

柱は相変わらず此方に向かって跳ぼうと足を曲げている。何と無機質な相手なのだろう、
久々に使うので不備が起こるかどうかが心配だ、取り敢えずは使ってみるべきだ。

「うぉっ!」

レザラクさんに柱が飛び掛かり、グローブを使っていなした。金属製らしく随分硬い音が響く。
ポケットの中を探る。取り出したのは机の上にて埃を薄く被っていた捕集器。シューゴ、少し申し訳無い。
魔法陣に捕集器を用意。光を帯び始める。陣全体が光り出す、全くもって問題無し。

「攻撃用ですか…?」
「いいえ、捕縛用です」

エンフィさんに答えを返す。そして再び跳ぼうとする柱に魔法陣から幾つかの「星」を放った。
忽ちに柱に纏わり付く。またまた跳ぼうと足が動いているのが解る。しかし、それだけだ。

所謂腑抜けの状態にされた柱は、足にしっかりと力が入れられず弱々しく地面に転がった。ばたばたと足を動かしているが起き上がりも出来なくなっている。

「全身を弛緩させる魔法ですか……上出来ですよ」
「……どうも」

エンフィさんが微笑みを此方に向けて浮かべている。大分絵になるような優しい笑顔だ。
その場から全く動けなくなった柱に槍を向け、先端に魔力を集束させているようで。
軽く表面を薙ぐと、柱に確かな傷がついた。硬度が上がっているらしい。
刃物と同じ様な持ち方に変えて、地面ごと貫くように突いた。貫通して柱が僅かに身を悶えさせ、全く動かなくなった。

「鬱陶しい奴だったな………」
「油断してはいけませんよ、サイ、天道虫を一匹倒したらどうなりましたか?」
「……あちこちから多数の蟲が」

足音と取るには間隔が空き過ぎているような音とどーん、どぉんと振動が周囲から響く。

「こんな感じで沸いてきましたね……」

まさか飛び跳ねる柱に包囲されるとは、自分の予想を外れていた。

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