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処理をしていて変化した
エンフィさん達が出発していった。翌日早朝、報酬を貰って普通に戻ってきた。若干早すぎるような気がする。

「最初に報告します。蟲、一匹たりとも倒してません」
「……えっ?」
「寧ろ殻を砕こうとしない限りは全く持って無害でしたので地面に埋めて終わりました」

呆気に取られたような視線を集めている。ヤクトさんとニッズさんが何だか残念そうだ。
依頼人達は綺麗に丸め込んだらしく、埋めた場所は誰も寄り付かないような所。深さは約九丈程度との事。

「…まあ、御苦労。報酬も差し引かれてはいないし、何ら問題は無いか……」



数日間を置いてまたもや蟲が出た。確かに背後から優しく持ち上げると何の抵抗もしない。その上見た目以上に軽かった。

「ニッズ、お前の苦労は何だったんだろうなぁ?」
「こんな蟲にヤクト先輩は手こずってたなんてなぁ」

二人の事はあまり気にしないようにして、大きめの籠に詰めた。その上で深々と穴を掘り埋めた。

翌々日、蟲がまた出てきた。ロッシュがシャベル持参でレザラクさん達と赴く。
案外簡単だったと当日帰ってきた後に言っていた。シャベルの刃には根元まで僅かに赤土が付着していて。

次には隣町に沸いて出てきた。土建屋の町人を中心に協力して貰い深々と埋める。
蟲達は呆気なくセメントで綺麗な円柱形に固められ、その上で地面に眠って貰う事にした。



「………………」
「この通り怪我人も出ております、出来る限り早く何とかして下さいませ……」

今日も今日とて蟲が沸いたとの知らせを受け、自分、レザラクさん、エンフィさんの三人が請け負って。
そろそろ埋めるのも飽きた、とニッズさんがぼやいていたが、その心配は無くなったようだ。

「……これは、どんな傷を?」

あの蟲は脛に軽い噛み傷、若しくは切り傷を負わせる筈だ。

「はい、見付けた時には、腹部と腕に幾つか穴が空いておりました………」

蟲の種類が変わった。作った側がこのままだと労力の無駄だと感付いたか。
何れにせよロッシュから引き継いだシャベルは、役に立たなさそうだった。

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あきゅろす。
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