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遅れてきたから多分英雄
「で、頼まれたんですか?それとも自分から?」
「…それは流石に言えねぇ。」
「……野蛮どころじゃない、悪どい野郎だねぇ。」
「…さて、言われた通り悪どいことでもしてみるか。」
獅子人が手を振るったのが見えた、
と、自分とラーツの間の地面に亀裂が走った。

「……どちらか一人だけ見逃すとか…」

何処まで悪党の王道を走るつもりなのだろうか。

……ラーツがじっと此方を見ている、視線を向けてみると尻尾が反時計回り中。

……自分が犠牲になれば丸く納まるのか。弱者が強者の弾除けになるのが世の理なら、そうするべきか。

…でもやっぱり命は惜しいな、あっそうだ命は獲らなかったっけな。
……格子模様を彫られたまま生きるのも充分アレだな、
でもラーツは自分を庇わないしな……

「……どっちが切られるかを十秒以内に決めないと両方切り刻むとか…」

まだ続いていたのか。しかしこれは困った。
急いで決断しないとお互い格子模様だ。いや、唐草模様かもしれない。
何にせよ自分が名乗るかラーツが名乗るか。だからってそうそう「……5、4、」
……時間は実に冷酷だ。

「…3、2……」
何となく、定番の漫画のネタを思い出した。
こんな感じで制限時間が迫る。完全に建物が焼けてしまう時間か、時限爆弾が爆発する時間。
水に沈みきる時間だったかな。
それでギリギリもう駄目って時に……
「…我慢できねぇ、ゼボゥッ!?」

イカしたヒーロー役が、……例え衣装が独特過ぎても、
助けてくれる。

そのヒーロー役は、縞模様が特徴的な……

「サイ君サイ君、あの原始的な代物は何かな?」

……確かに実に単純な武器だ。
『適当な大きさの樹の枝に布を巻いて持ちやすいようにしました』とでも言いたげな棍棒。

「今何か言ったか……?…まあ気にしないが……」

「……サイ君サイ君、あの野蛮は何かな?」
「…便利屋かな?」
牛人発射の目撃者、ラーツに突っ掛かってきた今日唯一の人、
傍らには読書中の竜人がいて、魔物が暴れていても平然としていた唯一の人達。
「やっぱ服装が怪しかったからいきなし殴るのはマズかったか……?」

……名前を知らないな。名乗らないようなヒーローかな。

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