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終わった後は造られた
「同じ数です」
「待った後輩君、これは俺のだろ?」
「んな訳無いだろ、それよりサイ、これってセグが撃ち落としたヤツじゃねえのか?」

目の前には叩き潰された蟲の山と身体を断たれた蟲の山が二つ。体液も滲み出ておらず案外すんなりと数えられた。
二人が指差している蟲の死骸を観察する。
ニッズさんが示した蟲は身体が叩かれた衝撃で千切られ、ヤクトさんが示した蟲は何処も断たれていない、様に見えて側面に穴が空いていた。

「どっちも問題ありませんよ」
「お、確かになぁ………」「……少しぐらい先輩の為に間違ってくれないかな?」
「……………」
「………どうしましたか…?」

二人の事は済んだと判断し、物思いに耽っている所長に近付き状態を伺ってみる。

「……何か、違和感がある………」
「蟲に?ヤクトさん達に?それとも僕ですか」
「蟲にだ…少し…いや、かなりおかしい気がするんだ……」

頭を抱えて唸るように所長は呟いた。自分も感付いている事だ。蟲にしては何処か小綺麗な雰囲気が醸されている。体液が飛び散らないのも妙で。

きっちりと森の中をあちこち探す。蟲は少しでもいたらあっという間に増えるからだ。
だから蟲は嫌なんだ、とのヤクトさんの呟きを聞きながら、一匹もはぐれた蟲は居なかった事を確認。
全ての死骸を運んだ後、依頼人の前に見せて報酬を貰う。体全体がちゃんと残っていた一匹の死骸だけを持ち帰る。
あの時杭を打ち込んでた獣人達が包帯を巻いた姿で感謝をしていて。中々楽でしたよ、ねぇヤクト先輩?とニッズさんのおちょくるような調子の呟きを聞きながら戻った。



自室を丁寧に整えていて良かった。蟲の解剖においては何の支障も無い。但しロッシュには嫌な顔をされた。自分だって大きめの蟲の死骸を部屋に持ち込む相手がいたら嫌だろう。

「……………」

机の上には自ら羽根から刃付きの腹部からばらばらに分解した蟲の残骸が。
結論から言えば完全な人造物だ。
蟲の中に有ったのは筋肉ではなく、多数の歯車等の部品から作られた実に精巧な機械が入っていた。

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あきゅろす。
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