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依頼の噂に楽をした
「また蟲型魔物が出た、との事だ……」

随分とエンフィさん達、特にニッズさんとはすっかり打ち解けたか、と自分が思いかけていた時、所長が相変わらずくたびれた様子で呟いた。
ヤクトさん曰く量が多い、中々死なない、肉食が多い、体液の匂いが嫌で堪らない、と嫌な事尽くしの相手らしい。

「……んでもって、俺とヤクト、ニッズ、サイ。明日頼むぞ………」
「げっ」
「えー?」
「……はい」

二人の嫌そうな声が耳に残る、そういえば魔物討伐も自分には滅多に回ってこなかった。
基本外殻が固い為銃は有効でないからだろう。柔らかい所に的確に当てない限りは。

「体液が臭かったり最後っ屁を放つ奴は勘弁して欲しいんだがな……」
「サイ君、先輩からのありがたいアドバイスだ」
「何ですか?」
「息だったり体温に反応する蟲だったら、ヤクトを盾にしなさい」
「カチ割るぞ」
「…………」

一応胸の中に秘めさせてから眠った。夢を見ない深い眠りだった。




現場に行ってみると中々大変な状況に陥っていた。主に魔物の被害に逢った人数が。

生き残った被害者は語る。

「何かイケそうな気がしたけど、駄目だった」
「………………」

両足には包帯が巻かれているが、まったく痛々しさを感じない程度。他の被害者もほぼ同じく。
聞いた話を纏めると、
町外れの森に沸いて出てきた、動きは遅いが殻は固く、軽く叩いたら脛を噛まれる、毒の類いは一切持っていない、見た目は銀色の大きい天道虫。

「……つまり楽勝って訳か」

ニッズさんが態々持ってく必要あったのかと言いたげに大剣を撫でる。

「だが、天道虫なら臭い汁を出す筈だ…中々落ちねぇ黄色い汁がな……」

あの残念な匂いは自分でも解る。ヤクトさんもだるそうに溜め息を吐いた。

「汁はともかくして、日中夜関係無く活動してるらしい。早めに叩いた方が良い…行くぞ…」

所長の言葉と共に背中を追って森へと向かう。勿論自分も入っている。
比較的楽そうで良かったと考えるか、あまり良い経験を積めないと考えるか。
まずは実際こなしてからだ。

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