全員帰還で触れ合った
自分の身体は大分あっちののベッドの柔らかさや側に寄り添っているイセラさんの気配だったりに慣れきってしまっていて、
だけど二日で元の感触だったり何だったりを取り戻す事が出来た。
「これで完全に全員揃った訳だ……改めてこう見ると、やっぱ小さいな……」
自分は相変わらず厚めな本のページを捲り上げる白竜人の膝の上が定位置となっている。頭を撫でられて懐かしい心地良さが。
「…………」
「あはは、立派な個性でそれがサイ君の良いとこだよね、可愛いし可愛いし……」
言いながら自分に先程頼んだコーヒーの入ったカップを渡してきたのは際どいパンツ一枚のみ身に付けた赤い鳥人。
そういえば何で自分の周りにはパンツ一枚の相手が絶えないのだろうか。
「でも、本当に良く戻ってこれたよね………」
此方を見ながらサンドイッチを食べている耳の垂れた茶色い兎人が気楽に語り掛けてくる。
昨日まで自分が戻ってきた嬉しさで涙まで溢していた、との噂だ。大分顔が緩んでいるような。
「……………」
視線を感じた、と思えばくたびれたスーツ姿の黒狼人が延々と此方を見つめていた。
手元に飲み物入りのカップも食事が乗った皿も無い。ただじっと自分の方を見ている。
懐かしい光景が目の前に広がっていて。確かに此所は自分の居場所だ。コーヒーを一口啜る、豊かな香りが鼻に抜けるのを感じ
「レザラク、少し借りますよ……」
「あ」
「………」
両脇から腕を差し込まれ、白竜人、レザラクさんの膝から自分の身体が離れていく。
自分の視界が一段と高くなった、そのまま誰かの膝に座らされる。レザラクさんよりも座高が高い。
「……成る程、確かに柔らかくて気持ち良いですね」
「……………」
頭を撫で回される。その手もずっと大きい。ドミナーさんと同じ程度に感じる。
見上げてみれば、茶色、と言うよりかは栗色の毛色をした馬人の顔が興味深そうに自分を見ている。
当然ながら自分は知らない、しかし此所には関わり深い。何せ副所長らしい。
自分以外に三人が、世界の裏側から戻ってきていた。
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