[携帯モード] [URL送信]
自信有りだから完全応対
傾いた視界からコマが不足した光景が広がる。

獅子人は手から杭を飛ばした。恐らくラーツに当てようとしたのだろう。

だけどラーツはそれを容易く飛び越えた。

そういえば今でも便利屋の皆様が地面に転がってるんだった。
正直邪魔としか思えなかったのだろう、血で滑るかもしれないし。
その判断は正しかったようで、獅子人は慌てて手を空に向ける。
が、もう遅いな。
ラーツが小刀を逆手に持って、今まさに力を乗せて、獅子人に全力で振り下ろそうと

「ぐぉぁぁっ!痛ってぇ……」
「………ちぇ…」

光を帯びた小刀が確かに獅子人に刺さった筈だ。
だから獅子人がスーツの上から肩を押さえていて、
ラーツが飛び下がった理由が無いじゃないか。
「あー、貫通しちゃったよ……全身にビリビリ来るしよぉ……」
全身に?…そうか、スーツが魔力の通り道になって、内部に通らないように……「……でも、もう魔力が無いから下がった。…違ぇか?」
「……あったりー。魔物に使いすぎちゃったよ。」
ラーツは武器の都合上近距離には格闘、遠距離には魔法。
魔力が切れたら必然的に格闘戦。てことは…
「近付いたら切り刻む。近付かないなら口封じのために切り刻む。」
「スウツの私怨含めてかい?」
「……それは忘れてたな…有難う、特別に格子模様を入れてやるよ。」
……終わり?いやいやいや……あれ?

「すいませんっ…ちょっと質問があるんですが……」
「……いきなり何だぁ…格子模様は確定な。」
「サイ君、見捨てても良いんだよ?」
何にせよ自分は助からないのだから、せめて疑問ぐらいは。
「あの、殺さないんですね。」
「!………」
「身体を真っ二つに出来るような魔法の筈なのに、切り傷程度に押さえてますね。」
「……確かにね。サディスティックな真似だよ…」
「だから何だよ?やっぱ唐草模様にすんぞ。」
改めて地面の皆様を見てみる。
斬られた箇所は手足、背中、腰、脇腹……あ。
「……改めて質問してもいいですかー?」
「……一個だけならな。」
「便利屋の人が怪我なんかしたりして、万が一依頼を受けられなくなったら、

得する人は誰ですか?」

「……怪我してない便利屋…あーあ…」
獅子人の両手がメットの側面を擦り、やや不快な音を出した。

もしメットが無かったら、鬣をがしがしと掻いているのだろうな。

[*バック][ネクスト#]

13/18ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!