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一撃な引金で結末が
自分に向けられた銃口が光り出す。更に速度を上げて上方へと、そこから急ターンして搭乗者に真っ直ぐ向かおうとして、

「……………」

フェイントで大きく左に。突き進むのは余程の速さが無い限り自殺行為、と自分の師匠が。
予想通りに弾丸が放たれているのを横目で確認。射程範囲内、両手でしっかりと構えて。障壁有りと見越した結果故に、撃ち殺してしまったらそちらの責任と考える、そして引き金を引いた。

「………っ…!」

放たれたのは何時ものように金属弾ではなく。収束された分の魔力が衝撃波として、一気に銃口から飛び出すようだ。
反動は以前使っていた銃よりは強く両手を跳ね上げ逃がす。威力は段違いに強く。固い鱗で覆われている筈の竜の背に凹みが確認出来、身体自体が逆向きに反った。苦しそうに口を開いていて

「っ…………」

間近で何かが叩き割られるような音。頭に響くぐらぐらと揺れる衝撃に細かな破片が落ちてきている。
どうやら最後に吐き出された硝子が頭を掠めてくれたらしい。被り物が砕け散った。幸い傷は無い。

「……………」

銃を構えたまま、地上に落ちた竜を見下ろす。微動だにしない。搭乗者含めて全く動かない。視線は皆自分か竜かに向けられている。
下降開始。上昇と何ら代わり映えもせず無事に成功。数分ぶりの地面の感触を確認した後、人工月のスイッチを戻した。ぶっつけ本番にしては随分上手くいった。

「…あ…………」

耳の辺りに痛みを感じる。出血もあるようで血が首筋を伝う嫌な感触も。銃を戻してからそっと触れる。予想以上にべったりと血が指に纏わり付いた。
感触からすれば殆ど横に真っ二つになっている。痛みが増してくる訳だ。被り物を外して壊れ具合を確かめてみる。最早自分の顔は完全に露になっているような状態。意味を成さないので被り直さずに小脇に抱える事にした。

「…参考までに聞くけど、今の気分は?」

エイサスさんが影から現れて尋ねてきた。興味を持ったような見直したかの様な表情を浮かべていて。

「…普段よりは上々です……」

答えている最中、耳から玉となって落ちた血が袖に模様を作り上げた。

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