危険な吐息で隣兵が
竜の吐息で何かが放たれ、それにより地面が割れた。幸い怪我人は無し。亀裂の入った景色が不思議と屈折して見える、恐らくは、
「……硝子を吐く竜…?」
「……成る程、固いなっ…」
赤毛さんが透明度のかなり高い硝子をかつかつと叩いている。指の腹を少し這わせ、それを自分に見せつけるように。
既に小さな切り傷が出来上がっている。かなり鋭いようで。
「……で、あれをどうしますか?」
「落とせば問題は無いだろう…ふっ」
ドミナーさんが間髪入れずに針を投げ付ける。太陽を反射して時たま煌めくのを確認すればどうやら命中する模様。
「……まあ、効果は薄いか…」
竜に突き刺さったようだが効いているかどうかは解らずそもそも何処に刺さっているのかさえも。
「…………!」
今度は薄紫の竜が口を開く、同時にぼんやりとした水色の霧が見えた、今度は赤毛さんから引っ張られる、
「ぬっ……?」
ドミナーさんの片足首が霧に捉えられて。霧自体は水色に地面を染め、ドミナーさんが足を引っ張っても粘っこく伸びて離さない、
「あの竜は粘液出すのか。つまり攻撃用と捕縛用か……ん?」
「取れない上に匂いが甘ったるい…胸焼けするかもしれない…!」
確かに薄く甘い匂いが粘液からしている。砂糖をひたすらに煮詰めたような純粋な糖分の。
竜に乗っている二人が、ドミナーさんに向かい銃らしき物を構えた。良く見るとそれはボウガン。の形を模した魔力銃で。
「ドミナー!ドリンクはともかく、お前の料理がねぇと大変だぞっ!」
「『ドリンクはともかく』……解った、お前にはピッチャー丸ごと用意する、ぞっ!」
放たれた蒼色気味の魔力圧縮弾。何とか足を外せたドミナーさんが体制を崩し、横に倒れながらも二発の弾丸を無事に避けて。
「………地域住民の避難完了」
何処かで聞いた声だ。
「……了解。直ちに然るべき処置らしき物を………」
声以上に長い金髪が目について。ハノンは両手にそれぞれバールと金槌、その隣にいる黒豹人は何も携えてはいない。
「……アイミ」
「了解」
アイミ、と呼ばれた黒豹人が幾つか詠唱を唱え、灰色竜の頭が爆発した。
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