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嘘の比重で急襲が
既に周囲の人々に見られている。明らかに異質な自分の外見通りに、皆の視線が集められているようだ。
口裏合わせのために痛みを堪えるように被り物を両手で押さえ痛がっているかの様に俯く。ハノンには申し訳無いが。

「……………」
「カゲロウ、大丈夫か?また血が垂れるなんてーのはやだぞ?」

赤毛さんが未だ嘘に乗っている。大丈夫だ、という風に何度か頷き視線を戻すと安心したように肩を叩いてきた。
声を出してもばれるような気がするので早めに戻ろうと赤毛さんの袖を引きつつ踵を返した。返そうとした。

「大変だーっ!ドラゴンが二匹街を襲ってきたぞぉぉ!」
「……………」
「………………」

確かに空に影が。段々と此方に近付いてきている。赤毛さんが笑った。爽やかさすら感じる満面の笑顔だった。

「……ドラゴン肉は煮込まなきゃ固いんだがな…」
「二人を呼んでくるよ……」
針を取り出すドミナーさんの影に隠れてエイサスさんが沈み込み、泳ぐように進んでいって。つまり自分も相手せねばならないか。銃を取り出し何時でも撃てるように。
取り巻きが騒がしくなっては各々の家の中へと逃げ込んでいく。店はシャッターを降ろして足早に閉店といった状況。
竜が迫る。体長的には人三人までなら楽々背に乗る程に。影も明確になってきた。頭部には角が二本、腕が二本、尻尾の先には無数の繊毛、背中には明らかに、

「誰か背中に乗っています」
「…………」

しまった、言葉を発してしまった。振り返るとハノンと黒豹人が、居なかった。遠くで取り巻き他の誘導をしている。流石憲兵と言った所か、しかし私服姿で何故この国に、旅行にでも来たのだろうか。

「来るぞ来るぞっ……」
「……………」

二匹の竜の背には一人ずつ人影が。一匹の竜は鱗が灰色、腹の色は白。もう一匹は鱗が薄紫、腹の色が水色で。
人影は全く同じ白色の服を身に纏い、全く同じ様な銃らしき物を両手で抱えていた。灰色の竜が口を開く。口内の色もくすんだ灰色、赤毛さんが手を伸ばしてきた、慌てて握り返せば強く引き寄せられ

轟音、衝撃、地面が揺れる。その辺りには、亀裂が走っていた。

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