手練れな三人で縫い付けが
スイッチは舌の上から深緑をした鱗の蜥蜴人の手の上に、爆弾自体は栗色をした馬人が剥ぎ取って。
当たり前のように彼の打つ手は無くなってしまった。その状態のまま固まって動かない。
「……アケミチ、ご苦労様で」
「ああ。して、今でも荒れてる様だな……」
馬人がアケミチ、と呼んだ眼鏡を掛けた体毛が白い豹人に話し掛けると、爆弾を失った彼ががくりと崩れ落ちた。呆然自失といった様子の彼を蜥蜴人が後頭部を殴る。どうやら一撃で気絶させたようで。
「パンピーたちー、憲兵とかを呼んでー。ちょっと残念なこの人を保護してやって…」
彼を肩に担ぎながら、蜥蜴人が取り巻きに話し掛けている。その内一人が応じたようで、どさりと再び地面に降ろした。
「……綺麗に持ってかれたねぇ…」
「……報酬無しだしこんな日もあるさっ。たまには外で食おうか?」
「この格好は目立つ上に色々食べられないんですが」
彼等はさておきポケットの中から一掴み分金を取り出すイセラさんに申し訳ないと思いながらの反論。
「……僕は戻っていますから、二人だけで行ってみたら…」
「……あ、そう?じゃあ息抜きなだけでデートじゃないって事を皆に伝えておい」
がっし、ぐっい。
「っ…………」
被り物の両脇に何かが触れる感触、外されようとしたので慌てて押さえる。真後ろから引っ張られている上案外身長差があるようだ、身体ごと持ち上げられてしまいそうになっている。
「…ハノン、いきなり何を……」
「……………」
「……………」
また聞き覚えのある声。随分最近、というか先程聞いた高い女性の声。押さえながら首を何とか捻って見てみれば、記憶に残る黒豹人と金髪の人間。
どうやら金髪の人間はハノン、という名前らしい。彼女が自分の顔を露にしようとしている。
「……すいませんが、彼はこの変なのと顔を縫い付けてしまっていますんで」
「…………ああ、ですから下手に引っ張ると修繕が大変なんでっ…」
「…………」
随分な大法螺でハノンのてがやっと離される。もう少し時間が経っていれば自分は押さえきれなかっただろう。
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