想像無しの無意味と搾取
瓶の中に悪魔の血液がどんどんと溜まっていく。それぞれ色も質も比べれば違っており、中々興味深い。
「ねぇ、どれだけ出せば良いの?」
「出せるだけ出して下さい」
「……サイ、君が鬼以上、もしくは悪魔以上に見えてきたんだけど」
「今止めても良いですよ…………」
「……………」
エイサスさんは血抜きを止めようとしない。何か意地でもあるのだろうか。自分にとっては有り難いが。
「……あー……限界…」
クグニエさんが掠れた声で呟きながら針を首から抜いた。
瓶には半分に僅かに満たない緑色の血が。手に取って傾けるとねっとりと垂れ下がってくる。
きっちりと付属の蓋で密閉する。中心辺りに使わせて貰おう。
「サイ、もしドミナーの後に約束が効くんなら、次は俺に抱かれてくれねぇかな?」
「そうしたら全員で僕を使う事になるので、認めないです」
「………上手い話はねぇかぁ…生活環境には気を遣ってるから瓶一杯分は余裕だけどよ……」
シフカさんが呟いている途中にエイサスさんが針を置いた。腕を擦っているのを少し申し訳なく感じつつ瓶を密閉。薄くて伸びそうだから外周周りに使おうか。
「………もしかすると、シフカの方がドミナーより多く血を出せるかもしれないな…っ…あー、ふらっと来たっ」
意味深な事を呟きつつイセラさんも針を抜いてしまった。蓋を閉める際に血液すら一定の温度を保っていると解った。
一番魔力が溶け込んでそうだ。全体の細かい装飾をやるか。
「そーだったら…二番目に多く血を出した奴がサイを抱くんなら…何かしっくり来ないよなぁ?」
「……単純な勝負でリスクもある。中々面白い気がしてきたぞ?」
悪魔は気紛れで大半が快楽主義者。スペアの瓶まで買ってきて正解だっただろうか。
「ではやってやろう。一番血液を提供した者にサイを抱く権利を譲ってやる…」
「そーいう事ならへばってらんないなー、っ!」
「痛っ、何か針が痛いような……」
「俺だってやってやるっ!」
その場のノリは一時大惨事を引き起こすと、ぐったりとして転がる悪魔達に改めて学んだ。
何はともあれ材料を得られた。あとはトキザに期待しよう。
[*バック][ネクスト#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!