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前文無しの撃破と要求
「………………」
「……あ、お帰り………暴れてる宗教団体をどうにかしろって依頼があったからね。一緒に行きたい?」

戻ってみると暇そうなエイサスさんだけが待っていて。首を左右に振ったらそう、とだけ呟き影に沈んだ、多分皆の元に行ったのだろう。
最近めっきり依頼も減ったので実質余暇の時間だ。適当に練り歩いて帰ってきた途端に。しかし以来等の報酬は完全に等分。自分含めて皆割り切れなかった端数を欲しがったりはしないから適当に。全く悪魔とは妙だ。悪魔側からだと人間が面白いように。
イセラさんの部屋へと戻り、何気無くベッドに座り楽になる。それなりに反発を返すそれに掛けられたシーツは深緑色。赤毛さん時の服装も寒色系が多かったような気が。

「……………」

紙袋に入った購入品を覗き込むと、無機質な輝きがぼんやりとしていて。
紙袋を持ったまま一旦外に出て月を見上げてみる。まだ明るいのに相変わらず浮かんでいる。
もしあれが無くなってしまったなら、国は大騒ぎになだろう。二個目の月は登らない。

「……………」

特にやる事も無く、適当に過ごしながら時間を潰した。振り返れば何と無駄な事をしたのかと悔やむ程。案外早く皆は帰ってきて。ついでに買い物をして来たのか、ドミナーさんは食材入りの紙袋を抱えていた。



「にしても、殴り倒されるまで名前の長ったらしい神に祈ってるなんて、馬鹿だよなぁ……」
「『神を信じぬ悪魔は立ち去れ!』って言われた時はちょっと驚いたが…」
「どう見ても人間にだって平然と言い放ってたよ。やっぱやたらと信じるのは駄目だなー……」
「でもなぁっ……『悪魔殺しの指示棒』…アレは流石に無いと思った」

自分は来なかったので話には入れない。エイサスが楽しかったように笑みを向ける。

「……皆さん、幾らか頼みたい事があります」

食事も終わってドミナーさんが本日のドリンクを運んでこようとした所で切り出した。皆驚いたようにこちらを見る。

「なーに?まさか身体が寂しいって………」
「身体に用があるのは違い有りませんが…ちょっと血をくれませんか?」

返事が来る前に、採血用の道具を並べた。

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あきゅろす。
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