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常識無しの思考と再会
魔力を帯びた物質にはごく繊細な物が存在する。空気中で簡単に帯びていた魔力が無くなったり逆に暴走して破裂したりといった物を保管するための筒。
ほぼ他人の金で奮発して買った一番良いもの。サイズは以前使っていた捕集器よりもやや大きい程、サイズ的にはポケットに簡単に入る。
魔力を逃がさないように加工がされた青色の金属、中央辺りのスライド式の窓を開けると覗き穴が中央に空いて蓋を中の状態が見えるようになっていた。

「………………」

自分でも中々とんでもない考えが浮かんだものだなと思う。覗き穴を見てみれば奇妙な紋様が彫られていて。
大分問題はある。月が遠い。どれだけの量を搾り出してくれるかどうか。他の国に呼び掛ければ何とかなりそうな気も

「……………」
「……………」

店の中から鋭い視線が向けられている事に気付き、ゆっくりと離れた。今度は荒れてる地域へと向かう訳だ。


「ルルラマ・アタカマナタラマ様は私を信じた者だけ助けてやる、と言っている!」
「私達と共にナチュラル自然神の手により進化するのです!」
「願うのならば必ず救ってくれる!」

やっぱり月が増えたという事はかなり視覚的なインパクトだったようだ、どの流派も聞いた事が無い。
自分はただ便利屋に戻りたいだけなのに進路を塞いでくる。声は聞かずに避ける。そこにもまた誰かが神の名を讃えている。通り過ぎても先にはちらほらと見えていて。

「………………」

一人の人間が自分の前を歩いていた。足元でずるずると何か引き摺る音がしている。
何故か背中に板を背負いながら歩いている。下に少し垂れていて、引き摺る音はそのため。

「仮に月が触れそうなくらい近くにあったらどうにか出来る方募集」

自分の見間違いでなければ板にそう書き記されていた。事実は小説より奇なりと言うが、何と都合の良い具合だろう。早歩きで近付き、そっと肩を叩いて呼び止める。

「やあ、月をどうにか…」
「……………」

見知った顔がそこにあった。くすんだ茶色い髪色に鳶色の目。
トキザ=タクテアがそこに居た。背は相変わらず自分より大きい。

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