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空想抜きの合致と甘味
と、向こうから変な集団が郡を為して歩いてくる。少なくともピンクと紺色の斑模様のシャツを皆が身に纏っている時点でかなり近付き難い。
丁度近くに開いていた喫茶店に入り避難。囲まれたらきっと逃げられまい。鹿人のウェイトレスにコーヒーとおすすめ商品らしいトリプルチョコレートサンデーなるものを注文する。

大分騒がしいと思っていたら集団が実に妙な歌を歌っていた。それなりな大人数なので店内でも余裕で聞き取れた。

「神よ 神よ 神は私たちに滅べと告げている
民よ 民よ 民は滅びるべきだと言っている
おお 神よ! 我々が滅びるべきならば何故
おお 神よ! 我々に知性や恐れを与えましたか
否、神よ 我らは意思を感じ取った
優秀な者を選り分ける そう神は言っている
月が二つになりし時 光が我らを消し飛ばす
太陽が翠に染まるまで 神は我らを選り分ける
選り分けられた者達は 二百の星に導かれ
神に連れられ新たな世界へ そこは羨む楽園だ…………」

「お待たせ致しました、トリプルチョコレートサンデーとコーヒーになります」

歌を聞いている内にこれでもかと盛られたカップが目の前に置かれた。予想以上に大きい。道理で結構な値段な訳だ。
集団は既に目の前を通り過ぎて歌いながら何処かへ歩いていった。偶然選民思想と現在の状況が一致したようだ。太陽は翠色になった時に月が残っていたらどうするのだろう。
目の前の代物を片付ける事に取り掛かる。濃厚な甘味が口に広がって旨い。ホットのブラックコーヒーを頼んで正解だ。苦味と暖かさが甘ったるくなった口をさっぱりさせる。
飲み干したコーヒーを御代わり。まだサンデーは四半分辺りか。大分時間を潰し、五杯分のコーヒーを共に飲んでやっと食べ終えた。代金を支払い店を出る。人通りも相変わらず少なく気の向くまま足を進めると。

「………………」

雑貨屋らしき看板を見付け足を止めて、中に入ってみる。簡単な防御用の魔具類は殆ど売り切れていた。
魔法補助用魔石、火属良伝導性ナイフ、案外品揃えは良い。

「……………」
「はい、毎度」

ぼんやりとイメージが浮かび、魔法物質保存菅を購入した。

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