欠点があるから生き物だから
「ボロ雑巾になるだけなのに、何で襲ってくるのかねぇ…」
小刀をしまいながら、独り言のように呟いている。
……挑発をしたからだよ、と教えたら
「そんなん分かってるよ、まさか単純な事に気付いて俺より頭が良いってふんぞり返ろうと……」
と、話が長くなりそうなのでやめた。
「今の狐、すげぇ魔法使わなかったか…?」「何であんなムカつく野郎にあんな力が……」「便利屋志望じゃないなら、志望するまで……」「またラーツか」
殺気を込めた眼が全部点になってこちらを見ているのは、珍しい光景だろう。
ここにいる他の人達には良くあることだと認識されているようで、
殆ど誰も騒がない。
誰も彼の──ラーツの力を認めている。力だけは。
「サイ君、魔力を使って身体がだるいからコーヒー奢って、5リットルぐらい」
……こういう所が無かったら、まさしく皆の憧れとなる筈だけれどなぁ…
「よぉ、そこの狐」
「……あ。」「……なぁんだい」
何故先程の虎人が自分の真後ろに立っている?
自分の背中に空間魔法でも仕掛けられたのだろうか。
「便利屋なら勧誘お断り、とっとと失せて」
「ヨーグルトは発酵食品だぞ?」
………あ。
「……え?」
「だから既にヨーグルトは腐ってる物だから、『腐ったヨーグルト』だと『頭痛が痛い』とかと同じような」
「………そぉんなこと知ってたよ?知っててあえて言ったんだよ、解る?まったく、そんなこと解らないとでも……」
尻尾が反時計回りに回るのは、ラーツが動揺してる時の癖だ。
現在毎秒約4回転。
「お前、もしかして頭が」
「あぁーそうだね!これは「犬耳」だからね!虎には馴染みが薄いよね!」
「……相当な馬」
「馬?俺が馬に見えるなんて、眼科に通った方がいいんじゃないのかなぁ!」
「……アホ」「なぁにを言って…」
どぉん。
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