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天才だから理不尽も通る
「…にしても、なんだいこの阿呆共は。威厳も糞も全く無いじゃないか。」

こんな状況で良くそんなことが大声で言えるなぁ……
騒がしい声が綺麗に止まった。で、ほぼ全員こっちを見ている。

「皆欲の塊で平然と人の命奪ったりする頭の足りない人達なんだろうなぁ。可哀想にねぇ…」


……皆さん、自分に視線を向けてくるのはやめてください。
こいつは憲兵になりた過ぎてるだけですから。
自分は全く無関係ですから…

「随分口の聞き方がなってない野郎だなコラァ…」

……先程の顔に傷狼さん、その大剣鞘に納めて下さい。

「あらら、随分野蛮だねぇ、これだから……」

ここまで人を馬鹿にした溜め息を吐けるなんて……

「コ、ノ、ヤロォガァァァッ!纏めて達磨にしてヤラァァッ!」

……だから自分は無関係ですって。
だから牙剥いてこっち来ないで下さいちょっとやめてやめて

「サイ君はその辺這いつくばってね、ワラジ虫みたいに」

いつもながら何で平然とそんな言葉が言えるんだろう。

こっちも獲物を抜いてるけど、
相変わらず馬鹿みたいに見える。

自分の掌ぐらいしか無い刃渡りの、幅も指と同じくらいの短剣を、
堂々と両手で握って真っ直ぐ構えているのだから。

「馬鹿だなぁっ!そんな小せぇナイフで、俺の一撃をを受け止める気か──」

柄の部分に彫られた魔法陣に魔力を注入、短剣を突き出したと同時に赤い稲妻が射出され、
見事に命中した。微かに呻き声を上げた。のけぞって倒れた。

……んだと思う。いきなり手元が光って『ドーン』と音が鳴って狼が倒れたから。
全身から煙を上げて焦げ臭い。ピクピクしてるから生きてるんだろう。

あの短時間でこうするくらいの魔力を注入できるなんて
つくづく天才だなと思う。
尚且つ随分な性格だ。世に十分通用する力を持っていて。

三ヶ月くらい前に思い付いたけどやっぱり

「腐ったヨーグルトが詰まったみたいな頭、少しは利口になったかなぁ?」


『憎まれっ狐、世に憚る』まさにこれだ。


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あきゅろす。
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