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相棒だから非情も友情
「剣までバッキリ折っちゃって…こりゃ弁償だな。」
その辺に転がった剣先を拾い上げて、虎人は呟く。

「不可抗力だよ!何故か頭に向かって振り下ろそうとしてきたから…」
慌てたような口調で自身の潔白を何とか証明しようとする竜人。

……不謹慎だが少し愉快だ。
…と、牛人を見てみると、ピクリとも動いていない。
「……ちょっと待て、ぶっ飛ばした牛、全然動いてないぞ。」
虎人がそれに気付いたようだ。
「なっ……!」
「こんな便利屋の一員によって命を散らしてしまうとは、なんて可哀想な牛なんでしょう。」
虎人は両掌を重ね、目を閉じて黙祷を捧げている。

「馬鹿、あんなんで命を散らしてるワケ…無ぇ、よな…?……」
ぶつぶつ言いながら、竜人が倒れている牛人に駆け寄り、
首筋に指を当てる。脈があるか確認しているようだ。
今、少し言葉に翳りがあったという事は、殺してしまったのかすこし心配が
「よお。若い人間君。」
「………はい?」
自分の背後に虎人が立っていた。そんな巨体でどう気配を…
「あの牛がぶっ飛ばされていたのを見ているよな?」
「……ああ、はい。見ています。」
「で、もしあの牛が良いトコの子で、ちょっとした騒ぎになるみたいだったら」

……黙っておいて貰えるか?そう言うだろうな。

「全責任はあの竜人にあります、と証言してくれるか?」
「……はい?」
「あ、別にそう言わなくたって、俺がこの一件に関与してない事を言ってくれれば良いから。」

「…全然生きてるーっ!」
「…じゃ、ヨロシク。この竜人にゃ内緒な?」
「……なあ、何話してんだよ?」
「…そろそろ誰か来るかもな、行くぞ。」
「…ああ、分かった。」

そして竜人と虎人は自分と牛人から離れていった。



……あれは便利屋のパートナー同士、だろうか?

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あきゅろす。
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