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悪魔達は便利で
特に続かず話が途切れたので、貰ったクッキーを一枚食べる事にする。
歯を立てても音が鳴らないしっとりした食感に茶葉が刻み入れてあるのか独特の強い風味が。

「……旨いか?」
「はい、美味しいです……」

ドミナーさんが興味深そうに見守っている。直に渡されたが、ひょっとしたら手作りだろうか。

「…あれ、エイサスは?」
「ここにいるよ……で、この人間はどうなの?」

足元から声が、見下ろしてみると不思議と自分の影が動いていた。
どうなの、とはどういう事かは分からないが、刃のような形状をしている影が自分の周りにある事を考えれば、そういう事だろう。

「……やめやめ。殺したら殺し返すぞっ。俺が代わりに」
「遊んでばっかのイセラがようやく彼氏を手に入れるとは」
「ひゅーひゅー」「オメデトウ」

昆虫人と竜人が赤毛さん、もといイセラさんを囃し立てている。
そうしている間に影が自分から離れて、いきなり犬人がそこから沸き出てきた。そうとしか言い様がない。
ありふれた茶色がかった体毛だが、その耳の脇には二本の短い灰色をした角が生えていた。
全員が悪魔で間違いない。だからといって自分にはどうする事も出来ない訳で。
本当にどうしようか……

「…それじゃあ、改めてっ……『Three-Star-Stag』へようこそ、っ!」
「…………?」

今見知らぬ言葉が聞こえたのだが。気のせいでもなく、首を傾げれどやはりそういう事だというのが。


「……便利屋ですか」
「おうよ。隣国のなっ…」
「……構成員は」
「今いる奴で全員だ。場合によっちゃもう一人入るかもねっ…」
「……申し訳ありませんが、もう間に合ってますので」
「でも君、勝手に死なされてるよ?」

エイサス…さんがいつの間にか手に持っていた新聞を渡されると、『正義の裁きか?刑務所内囚人全滅!』の文字。
軽く目を通しても『陰惨』『因果応報』『全滅』『生存者無し』………どれだけやったのか。

「…話が拗れるのも何ですし、暫くの手伝いぐらいなら」
「……っしゃ、歓迎するぞっ!」
イセラさんが背中を叩いてきた。
……生暖かい。

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