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侵入者は突発的で
騒ぎは更に拡大、しかしどれか一点に必ず収束をする。
逃げ切れない者。捕まる者。死んだ者。殺された者。

「…………」

半開きの扉から誰かが来た足音を聞き取る中、やっと魔法陣は完成した。
ひた、ひた。
自分の部屋の前にゆっくりと誰かが歩いてくる。今思い返してみればそれなりな人生だったか。
あの時に死んだと思ってみると、十分に元は取れた筈だ。
『ラーツ=ノルアットへ(暇を潰して製作)サイ=スロードより』区別をつけるために上に軽く文を綴って、これで完成した。
あとは殺されるだけだ。いつの間にかナナカギさんの気配も無い。抵抗する余地も無い。
扉が開いた。あまり死の直前は見るものではないなと思い、目は閉じなかった。

「…あ、やっぱ君かっ。久しぶ…ああ二日ぶりか……」
全体的に山羊人のような、しかし下半身がもさもさした毛に覆われた赤くて紅くて緋くて朱い人、否、悪魔がそこに立っていた。
赤毛さんだ。自分が捕まったきっかけ、原因を作った悪魔だ。

「……また、会えるとは思いませんでしたよ」
「俺もだよ。で、何で捕まってるかって、もしかして」
「えー、九割七分は貴方の罪です…」
「マジか、それはすまなかった……だがなっ」

頭を深々と下げながら自分に近寄り、がっしと強い力で両腕を掴まれた。

「もう一度会ったら、また勝負をしようって俺言ってなかったかぁ?」
「確か僕が負けた時の事ばかり考えてましたが」
「よぉぉし、じゃあ今すぐ行くかぁ?ちょっと申し訳無いがなっ…」

相変わらずひょいと自分を抱いて、そのまま部屋から出る。
廊下の前には炭が一つ転がっていた。頭に角のようなものが生やされていた。

「何か、狼を被っていた奴には会ったか?」
「牙を見られて激励されました」
「俺に関しては本人に聞くのが良いがなー」

赤毛さんが身体ごと振り返ったお陰でその昆虫みたいな二足歩行を見る事が出来て。

「よぉ、何かやつれた気もするなっ。突然で悪いが、早速ヨロシク」
「りょーかい。そいつは面白いか?」
「今までチョイ勝ちが最低だったのに、全部持ってかれたさ」

相槌を打ちながら昆虫人が何か唱えると、
壁が裂けて、外の風景が見えるように。
赤毛さんは礼を言いながら飛び出した。無論、自分を抱いたまま。

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