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一段落の後処理から献上
赤毛さんは自分を抱えたまま
町並みを一通り回り終え、つまり大体のフードの集団は皆燃やしてしまった訳で。

ぱん、ぱんと下から乾いた破裂音が聞こえ、どうやら何人かが銃で赤毛さんを撃ち落とそうとしているようだ。

「あんなんで俺が死ぬわけないのに」
「僕は撃たれたら死にますけど……」
「今は撃たれなきゃ死なないっしょ?俺は君を殺す気は無いし」

ところが赤毛さんは更に高度を増した。見えていた人影があっという間に唯の点に。
建物も単なるちっぽけな四角形に、終には町の一つの両端が見えるようになるまで高く飛んでいた。


そして、その赤色の口から真っ白な煙を吐き出し始めた。
もやもやしたそれは際限無く吐き出され続けて、すっぽりと霧のように町を覆い尽くしてしまう。


「……これで、町の人間の記憶一日分はオサラバ。いやー、悪魔はズルい生き物なんでねっ」

言いながら降下、建物が判別できるように、人間が路上で眠りこけているのが見え、そして固い地面の感触が足元に。

「道連れご苦労さんっ……あ、差額分はまだだっけ?」

出会った時のようなとぼけた口調で、しかし身体は悪魔のままで自分に話し掛けてきた。

「あまり良い案が浮かばなかったので、そっちが考えたので良いですよ…」
「そっか。じゃあ、えー………」

少し顎に指を添え差額分は何が良いか考えているようで、
そして思い付いたように口角を吊り上げてにやっと、丁度絵本に載った悪者のように笑い

「………俺の牙三本。どうだっ?」
「………それで良いなら、別に……」



軽い気持ちで言ったためか、それとも赤毛さんの趣向なのか。

「っ……ガァァ…ッ……グォェ……ッ!」

後、悪魔の血も自分達と同じ様に赤い事と、悪魔の牙も同じ様にしっかりと歯の根が埋まっている事が分かった。それから悪魔にも痛覚が存在する事を。

「…ぐぁ…痛ってぇ……ほらよ……」

何処からか取り出した布にくるんで、抜きたての牙を手渡された。
少し血が染み出しているのは見ないでおく。地面にこぼれた血も気にしない事にした。

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あきゅろす。
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