[携帯モード] [URL送信]
愚かな生き様から焼却
まだ縛り付けられた女性達が火に炙られていた。民衆もフードの連中もちゃんといる。
遠目から見ても、女性たちは既に息耐えていた。少なくとも身体の表面が殆ど炭化して生きている人はいまい。


「俺はなー、燃やす奴は燃やされる覚悟があってやってんだろうと思う訳さ」

赤毛さんがその緋い手から、紫色の火の玉を放ち、それは真っ直ぐにフードの連中の一人に当たった。

「……!……!…」

騒ぎがそこから広がっていく。フードの一人が用意していたらしい水を思い切り頭からかけて、それでも炎は消えない。
民衆は何事かと騒ぎながら逃げ出そうとしている。上から見ると転ぶ人まで良く見えた。


「…!………」

不思議とその紫色は一人に固執しているように消えず、他人に燃え移りもしなかった。

「話を聞いてみたのだがなぁ、やっぱ燃やしたらしい人が一番多いんだとさ」

その炎が赤毛さんの掌から雨のように降り注ぐ。的確にフードの集団目掛けて、炎を燃え移らせている。



紫色の集団が踊り狂う。自分には楽しそうには見えないが、見方によってはそう見えるかもしれない。
一人が真っ黒になって倒れ、動かなくなった。続いてまた一人、そして最後には炭だけが残る。

「……少なくとも俺、一万人分は燃やせるな。でもつくづく人間ってのはなぁ」

飛び回っている内、またフードの連中を見付けて、炎を放っていき、燃やしていく。
自分はそれを黙って見ながら、たまに見逃したフードの位置を指で差して教えてあげた。

「ありがとさん。…で、人間は面白いよな。作り出す娯楽においては最上級、何よりも」


炎が飛び交い、フードに当たる。気付いたその人は近くに偶然あった噴水に飛び込んだ。

しかし炎は消えない。フードが焼け落ちて長いマズルが見える。明らかに動転した表情。
慌ててその場で燃え盛る服を脱ぎ出す。しかし炎は纏わりつく。
全身を噴水に沈める。しかし炎は消えないままに。

と、その身体が浮かんで、炎は付いたままで。燃え尽きる前に、溺れてしまったようだ。



「……無害な同種を陰惨に殺す事を娯楽にしちゃう所なんてな、最高だなっ…」

[*バック][ネクスト#]

16/20ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!