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一欠片の興味から惨劇
また、緩やかな時間が流れ始める。きっとあの協会の中は大変な事になっている。

自分は川の流れも魚の動きも見飽きた。

「…………」

神様は人を導く存在だとか言われていると誰か言っていた。
それで人を導く神様の元に人を導くのが神父で、神様に導かれてその下で修行に励んでいるのが修道士、だったか。
……でもやる事は同じだ。神様の存在を知らない人に知らせて、仲間を引き入れる。
何故か教会の中に入って自分が今までやってきた罪を言うとそれが神様の手により許される。
神様を信じたら天国に行ける。
信じないと地獄に。
そう考えれば、神様を知らない人も皆地獄に。


「…………」

無数の足音。振り返ってみればフード姿の集団。縄やペンチ等物騒な道具を小脇に抱えている。

良い機会だ、あくまで興味本意だ。確かに今の協会の中は、神様の示唆は見てみたい気がするから。


「……すいませんが」
「…ん?何かな君は?」
「教会の中に入りたいんですが、良いですか?」

「…ハハハ、私達も私達の信ずる神様も大歓迎さ。好きなだけ中を見ると良いし、気が向いたら入信してくれても構わないよ……」





神様の趣向は分からない。
その下に使えている筈の神父も修道士も着ている物がまちまち、贅沢し放題なのも、一日一食だと言っている人もいた。
恐らく大抵の神様はこの光景は好きではないだろう。自分だってあまり見たくは無かった。

ごろごろ転がっているのは焼けたローブとフードを纏った、人の形をした炭。
あちこちにあって、全く動かず。その表情も種族も分からないようになっていた。


「……殺したらしい人は数倍ぐらい差があった訳さ………」
自分に気付いた赤毛さんは、手に持った炭を放り投げる。
それは軽々と宙を舞って、装飾に彩られた壁にぶつかり、粉々に砕けた。

「……因みに、神様の存在を信じていますか?」
「俺の知る限りじゃ魔神は良い奴だ。良く面白い事を持ってくる……さて、後始末だっ」

自分の身体が再び掴まれ、抱き上げられたまま教会の外に、

そしてまた空に飛び出していて。
静かな景色も、ぐっと小さくなっていった。

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あきゅろす。
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