[携帯モード] [URL送信]
己自身の種族柄から突入
猫人の女性も何処かへ向かっていって、転びそうな走り方で垂れ耳の犬人も逃げていって、

後には自分と赤毛さん。串刺しになった犬人と頭の割られた牛人だけが残った。


「運が悪かった、って諦めきれないよな普通。だからどうしたという訳でも無いし」

その二人の縄も切り落とし、しかし丸太に磔になっている犬人はそのまま、牛人の身体だけが倒れる。
血塗れの瞳が自分を見上げる。でも種族的には普通の人間である自分では助けようがない。

「……死人を生き返らせる事は、出来ますか?」
「勿論さっ。狼とか蝿とか別の生き物の魂をぎっちり詰め込むとね」
「…………」
「後は、無理矢理逝きかけの魂を引っ張ってきたら、どうにかなるのさ。まあ、安定を求めて生きた犬とか直に喰ったりしちゃうけど……」


人間の事をそんなもの程度にしか考えていないのなら、今までやった、これからやる事も只の暇潰しなのだろう。

「……さてさて、行きますかな。道連れを宜しくっ!」



自分の身体が持ち上げられる。

丁度お姫様抱っこの姫役と同じ体勢を取らされ、そのまま真っ赤な翼が広がり、


二人の死人の姿が遠くなる。駅の周りには人っ子一人いない。

向こうの方でもうもうと煙が上がっているな、と思ったら磔にされた人達、大半が女性が燃やされていた。

「あっちには行かないんですか?」
「本元の方が人が多いんだろ?そっちのが得だ…」

暫く飛んでいると、全体に見事な装飾のされた教会が見える。赤毛さんはその近くに、丁度小川のほとりに着地した。

「…さて……随分良い場所だなここ…」


涼しそうな影を作っている大木もある、足元の草は短く歩くのに難儀もしない、
川の水も澄みきって、魚も何匹か泳いでいる。

確かに良い場所だ。ピクニックだったら間違いなくここで昼食を摂る。


「……俺のポリシーを教えとくかなっ。あのフードの連中の総人数よか、殺した人間が多かったなら」


自分を降ろして、赤毛さんは協会に飛んだ。
どうなるかは自分が今までやった行いで。

つくづく妙な人、違った、悪魔だ。

[*バック][ネクスト#]

13/20ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!