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煮えたぎる我慢から爆発
丸太の空きは無い。二人の死体がずっと近くなった。
キナ臭さも相当強く、服に染み付いてしまいそうで。
フードに開いた二つの穴も、犬人に刺さった串の先端に鮮血が滴るのも良く見える。
とりあえずの処置なのか自分はフードの内の一人に羽交い締めにされた。身長差で爪先立ちを強いられている状態。足に少々くる。



そしてさっきまで堂々と喋っていたフードの人が再び喋り出す。


「…諸君!魔憑きらしき、否、確実な魔憑きがまた現れてしまい「……ギャッハッハッハッハハハハハハハ!」

赤毛さんが笑った。その身体はどこも火傷なんかはしていなかった。
赤毛さんが楽しそうに笑い声を上げている。その身体には一本も赤い線なんか描かれていなかった。



「な、何という事……魔が完全に頭に回って……」
「……マジモンの馬鹿だなお前、らっ!」

フードの人が体勢を崩した。赤毛さんが何かをやって転ばせたからだ。

違った。フードの人のローブの脛辺りから下が切り取られていた。
勿論両足ごと。串刺しになった犬人の近くにその足が転がっている。


「え……っ…!!」

気付いても既に間に合わない。手で這っていって自分自身の足か確認して、それでやっと痛みが来たようで。

「う、うわぁぁぁぁぁ「ハハハハッハッハハハ!」

叫びも赤毛さんにかき消される。その、丸太に縛り付けられて良く見えないが臀部のやや上辺りから長い尻尾が覗いていた。
その先端は槍のように尖り、血が滴っている。


「信じてた貴方達にゃ残念なお知らせだけどっ」

びきびきと赤毛さんの内部で何かが蠢き、上着が破け、真っ赤な翼が背中に生えた。

「俺ぁ魔憑きじゃなくて○○魔って訳さっ」

赤毛さんの口元が幾分か伸びた。服が破れ去って完全に全裸になったが、下半身はたくさんの紅い体毛に覆われ何も見えない。

「…でもって問題だけれども」

全身が膨れ上がり、
反り返った二本の白い角が頭に、
縦に裂けた瞳孔が朱い両目に、
ずらりと揃った黒い牙が口元に、


「…俺はなーんだ?」
「悪魔」
「正解っ!」

赤毛さんは笑いながら、自身を縛っていた縄を一気に引きちぎった。

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