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燃え盛る途中から大声
赤毛さんの足元に枯れた藁束が積まれる。くすぐったいのか足をもじもじさせる。
続いて燃やしやすくするためか油が藁束にかけられる。
油の匂いが鼻についたのか、赤毛さんが顔を曇らせる。


「それでは、この聖なる炎にて魔を払ってみせますっ……」

フードの人が手に持っている松明には緑色の炎が灯っている。
科学のお遊びで再現は簡単だが、その見映えは聖なる炎としては十分だ。誰も疑ってはいない。

「……お前を救うためだ、暫く我慢しろ」
「…こんなことずっとやってるなんて、お前ら脳味噌が腐った野菜とかで出来てるんじゃ」

藁束に火が付けられた。ごく普通の橙色がかった炎が上がり、赤毛さんの足を焼く。

「…………」

赤毛さんは急に俯いて黙りこくってしまった。間違いなく堪えている。

「もし魔が身体から出ていった時は、叫びと共に赤色の煙が口から吹き出る筈です…!」

そんな事は起こらないままに、赤毛さんの身体が炎に侵食される。黙ったままで。


「……叫び喚かないと、魔が出てこないっ!」

フードの人がそう言って、刺付き鞭で身体を打ち始めた。

「苦しさで叫ばねぇとつまらねぇだろが!」
「…まさか唯のどマゾだったりしてなぁ!」
「何だよ、変態なだけか!」
「ハハハハハハッ!」


鞭で叩かれ続けているのに、服が全く破れていない事に違和感を感じていないのだろうか。
火が身体中を舐め回しているのに、火傷した様子が全く無いのに気付いているのだろうか。

気付いた人はいると踏んで、そこで考えが止まっているような人達のために。



「……魔憑きであってもなくても、人を殺すのが目的だとしたらっ!」

滅多に出さない大声に少し喉が驚いてるようで、でもそれを封殺。
高めの声だから相当響いたようで、何十人もの民衆がこちらに視線を向ける。

「……殺す必要は無い!殺すのは間違えている!」


「貴方も魔憑きだ!お互い魔を擁護し合う!」

「…お前かわい……魔憑きに違いない!」

自分の身体が民衆に棒の方に向かって引っ張られている。それより明日の喉が心配だった。


……赤毛さんの口元が歪んでいる。

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あきゅろす。
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