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狂った出任せから悲劇
縛られた赤毛さんと、その他数人。種族関係無く、女性の方が多い。
周りには趣味の悪いフード集団、更に住民が不安そうな表情、或いはにやにやと笑いながらその取り巻きを見ている。

「私は魔憑きなんかじゃないっ…!」
「助けて!誰かが勝手に密告を……」
「……皆様!残念な事にまたこの町の住民の中に魔憑きの可能性がある者が出てしまいました!」

縛られた人達は悲痛に叫ぶ。それが聞こえてないようにフードの一人が皆に向かって、張りのある声で喋り出した。

「知っての通り、魔は勝手に人に取り憑き、強盗、殺人、その他様々な悪事を働かせる厭らしい物です……」


成程分かりやすい。これから集団が何をやろうとしているのか。
……赤毛さんが自分に気付いたのか、笑みを浮かべた。とりあえず手を振り返す。

「我々の手によって、魔を追い出して見せます。皆様、どうか祈りながら見届けてください!」
「ウオォォォッ!」

住民達が吠えた。丁度祭りの始まりを告げるように。
違う、これは祭りで間違いない。既に純粋な見世物として定着してしまっている。




「ぎゃっ!あい゛っ!?うぐっ!?」
「魔よっ…立ち去れっ…くくっ…!」

犬人の女性の身体が刺の付いた鞭で打たれる。

痛みに身体を捩らせ、次第に服がぼろぼろになって胸だの股間だのが露になり、群衆が歓喜の声を上げる。
それでも鞭を振るうのは止めず、赤い筋が何本もその身体に描かれる。近くの毛皮に血が付着する。


「嫌だ嫌だ嫌だぁっ!止めてぇ!誰か助けてぇ!」
「お願いです!私は魔憑きなんかじゃないんです!」
隣で縛り付けられている女性も悲鳴を上げる。次には彼女達が鞭を受けているから、痛みがより深く感じるのだろう。

「あがっ、がふっ……」

激しく振られる顔から涎、涙を流しながら鞭の痛みに叫ぶ。
全身満遍なく赤い線が残って、ようやく鞭の動きが止まり。

「……まだ、魔が出てこない…」
「……魔はもう出ていきましたからぁっ……」
「本人はこう言っている……否、魔に言わせられているのだ。とかく巧妙な奴め…」

フードの人が言いながら何か、人一人簡単に突き通せそうな長い銀色串を取り出し、犬人の顔が固まった。

この人達も民衆も止まらない。

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