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悪意ある意図から連行
差額分の何かを考える。肩叩き券。この先会えるかどうか分からない。
それならベッドで一夜分。日帰り旅行には向かない。フーガさんに心配はかけたくない。

「…………」
「…………」

扉が開かれる音、振り返ってみれば先程ボロ負けしていた犬人と猫人だ。
うっすら笑みを浮かべている。微かだが悪どい事を考えている時のような、そんな笑顔。

「…それで、魔憑きと言うのは誰かな?」

何て胡散臭い連中だろう。
犬人と猫人の後ろには、何人か濃い紫色のローブと頭巾を身に付け、顔も種族も分からないような連中が立っていた。
店内がざわざわと騒がしくなる。憐れみの視線が此方に向き始める。

「へい、アチラが魔に差されてイカサマを致しましてですね……」

犬人が指差す先には自分。積まれた金。テーブル。使ったカードの束。
赤毛さん。

「……魔憑きか確かめる必要がある」
「下手に抵抗すれば、確実に憑かれている」
「……実際巧妙な魔も存在する故、あまり分からないが」
「とっとと来い!」
「うぉわっ、ちょっ、何だぁ?」

赤毛さんが無理矢理店の外に引きずり出される。嫌な予感しかしない。

「へへっ……」
「あの人間も可哀想にっ…」
犬人と猫人がにやけながらテーブルの上の金を取り始める。元々自分の物だ。言っても聞かなそうだ。

「…………」

片手に捕集器、もう片方に魔法陣、テーブルの下で触れ合わせて魔力を注ぎ、

「へへ……ぇ…?」
「……あれ……ぁ…?」

二つのヒトデ状は、見事に犬と猫に命中して、力を完全に抜いた。足先にしっかり貼り付いて離れそうにない。

「…………」「…………」

とにかくこの魔法は力を抜く。言葉を紡ごうとする口も動かない。声を出そうとする喉も動かない。

「…………」

全部の金を鞄に詰め込む。容赦はしない。それより気になるのは赤毛さんの行き先だ。

店主が何か言い出す前にひと掴み分の金を渡し、自分は店を出た。


「………」

何となくあの棒の所に行ってみると、赤毛さん、その他数人が棒に縄で縛り付けられていた。

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あきゅろす。
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