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一対一の勝負から決着
こうして勝ちつつ、降りつつ降りつつしている内に赤毛さんの儲けた分をいつのまにか半分程取り返していた。
犬人と猫人がその半分以上を持っていたと考えれば、やはり赤毛さんは勝ち過ぎていた。

「……こんだけやるとは、予想外ね」
「…ここまで勝つとは、思ってませんでしたよ」

赤毛さんは笑みは消えてるものの、興味深そうに自分を見ながら頭を掻いている。
何気なく自分もそれを見返す。目線を外したら駄目な気がした。


今度は自分にカードが配られ、様子見で金を少なめに積む。赤毛さんはそれを見て、
「…………」

愉快そうな満面の笑みを浮かべ、次には持っている全ての金をテーブルの上に置いてきた。

「……全賭け。お前にやる根性と後先考えない素敵な頭はあるかい?」
「……差額はどうするんですか?」
「肉体労働だったり何だったりで返して貰おうか……」
「……………」

少し考え、自分も財布の中身も空にして全てテーブルの上に。

「………負けても恨むなよっ…!」
「負けなかったら恨みませんよ……」

カードを三枚換える。赤毛さんは二枚換えて、そしてにっこり笑った。

お互いが役を開示する。


「………………」
「………………」

赤毛さんのこれからを考える。無一文で旅は続けられないだろうし、恐らくはこの店で暫く皿洗いか、もしくは床掃除か。

向こうから言い出した事。賭けた金額はこちらの方が多い。差額分はどうしようか。人員は間に合っているし、自分には肩凝りも無い。

「……ヒャハハハッ…!負けちゃったよっ…」
「……勝っちゃいましたね…」
赤毛さんの負けた数が一回増え、自分の勝った数が一回増えた。それだけ。無一文になった事を差し引くならば。

「いやいや、楽しかったっ。無一文になるまではっちゃけちまったいっ…」
「……差額分もありますから」
「…こんくらいの差なら、家事手伝い一日半ぐらいかぁ?」

爽やかに笑いながら、金を自分の前に押しやる。およそ四人分の所持金全てをどうすべきか、どう運ぼうか。
と、この時に始めて、自分達が店内の注目の的となっている事に気付いた。

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あきゅろす。
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