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程々の興味から勝ち逃げ
「いやぁ、俺もこの町に来るのは始めてでさぁ……」
自分の目の前に座っている赤毛の人間が笑いながら身の上話を語り、一先ず軽く頷きながらカードを変える。
出来た役が悪い。自分の中で素直に負けを認め、降りる。

「…っ………!」
「…ぐぅぅ…ぅ………」

両脇の犬人と猫人は大分切羽詰まった顔だ。負けが重なっている。自分もあまり儲けてはいないが、
赤毛さんが大勝する前にうまく降りている。だから損失も少ない、得る金の方がやや多い。

「ほいよっと……」
「…………」
「……ぐぁぁぁぉっ…!?」
二人の役は悪くなかった。基本なら十分に勝てる役だった。

…但し、赤毛さんのカードは、どれも同じスート。
勿論赤毛さんの勝ち。降りておいて良かった。


「いやいや、すいませんねっ…君が降りなきゃもっとイケたのにな」
「下手にがっついたら痛い目を見ると思ってるんで……」
「違いないねっ。さ、次も稼ぎますかっ……」

頭を抱える犬人と耳が寝ている猫人を尻目に、一度目の賭け金を調整。犬人の賭けた額と同じ金額をテーブルの上に。

混ぜられ渡されたカードを確認。当たり前のように役は現時点では出来ていない、思い切って一枚だけ残して。


「…………」
「くあぁぁぁっ…」

猫人が頭を抱えてゲームから降りる。自分等はいかに相手の金を引き出すか、駆け引きが始まる。
赤毛さんと同じ額を自分が出し、犬人がその額よりごく僅かに多く出す。
自分がそれに合わせて、赤毛さんも同じく、
そしてカードの役を開く。

「……くそっ!」
犬人がテーブルに拳を叩き付けて、金を自分の前に押しやる。
僅差で自分の勝ち。勝ち取った分の合計は少ない方だが。

「……お二人さん、負けた分は取り返せば良いと思うよ?」

遥か彼方まで薄っぺらな労いの言葉を呟きながら、赤毛さんはにやにや笑っている。
自分含めて搾り取った場合の事を考えてるのか、単に勝負を楽しんでるのか。

とにかく金は回る。儲けるか損するかは器量と運次第。
せめて負けたくはない、それは誰も同じな筈。熱が上がりながら、ゲームは続けられる。

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