先人の御言葉から放浪
魔法陣が出来上がった。慣れもあるのかどうかは知らないが、少し一大事だ。
陽も高くなっていない。強いて言うなら朝食を摂ってからあまり経っていない。
後は悠々自適に過ごせるのだが、やることが無いのだ。
フーガさんの手伝い等はあまり無茶でない事なら出来ると思う。買い物に付き合う以外なら。
前の依頼時に買った書物は、みんな読み終えた後、レザラクさんが欲しがっていたのであげた。
それで自分はどうするべきか。
二度寝も良いが眠気は無く、射撃練習でもするか、ロッシュの言っている通り、速く精密な連射でも。
…確かロッシュが以前暇な時はどうしているか聞いていた。
『練習とか、レザラクから本借りて読んだりとか……あ、全く知らない町に日帰り旅行するのが一番かな……』
自分も、先輩にあやかってそうするとしようか。
襲われた場合のために、銃と捕集器と魔法陣を忘れずに。
「……知らない町に日帰り旅行でも行きたいんですが、行って良いですか?」
早速軽い用意をしてフーガさんに聞いてみる。人員が半減するのは辛いだろうから。
「勿論どうぞ……ロッシュの真似かい?」
「まあ、そんな所です……」
「襲われないよう、気を付けて行ってきてねっ」
許可も忠告も纏めて貰った。早速列車で何処かに向かう事にする。
所持金は少ない方が良いだろうか、たかられた時を考えて多目に持った方が良いだろうか………
錆びた時計が皆に時間を教えてくれる、
しかし初見なのでどのくらいの間時を教えてくれていたのかは分からず。
この草臥れたベンチだって長年人に座られ続けていたのだろう。
無論何年前からあったのかは初見なため見当も付かないが。
名も全く知らない、名所も名産品も分からないこの町。
第一印象は何処と無く暗く、矢鱈とカラスが飛び回っているような気がする。
先ずは恐れない事が大切、とあのロッシュも言っていた。
なので堂々と道の真中を歩き、散策を始める事にした。
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