度胸が無いからしっぽり始める
ほの暗い部屋の中で、誰かが何かをやっている。
「…………」
随分厚い魔導書を、パラパラと細い指が捲る。
「…じゃあ……これで……」
お目当ての魔法を見付けたのか、指が止まり、
そのページを食い入るように見つめる人間。
体躯は子供と言ってもなんとか騙し通せそうな程細い。
「…─〜…──」
書かれた詠唱をぶつぶつと復唱し、魔法を唱える準備を一通り終え、
「……行きます。」
そうやや高めの声で言い放ち、先程覚えた詠唱を始める。
「〜───〜〜─」
その詠唱はあっけなく簡潔に済み、
人間は身体に流れる魔力を掌に集束させる。
「はっ」
そして掛け声と共に、手を素早く前へ突き出した。
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